【クロストーク】PICUS x ハイモジモジ

 

時代が移り変わっても愛されるアンティークをめざして、経年変化や質感を楽しめる真鍮や銅素材、木材などを活かしたオリジナル商品を発信しているPICUSさん。紙モノを中心に、ライターとグラフィックデザイナーのコンビで革新的なステーショナリーを生み出し続けるハイモジモジさん。同じ時代を生きる同い年、夫婦ふたりで活動といった共通点の他にも、モノづくりの姿勢において通じるところが垣間見えるトークとなりました。

 

【プロフィール】

 穂波雅之 雑貨メーカー勤務を経て2009年アクセサリー・文具・雑貨製造メーカーPICUSをスタート。ロンドン各地で行われている蚤の市で見た、古くてもその魅力を失わないアンティークに感銘を受け、PICUSの商品コンセプトとする。最初につくった商品はアンティークキーをモチーフに真鍮を削り出して製造した鍵型ボールペンと、タイプライターをモチーフにしたアイテム。

 松岡厚志 関西学院大学在学中からフリーライターに。非営利の映画上映団体主宰を経て、2010年に株式会社ハイモジモジ設立。「Kneepon from Nippon!」を合言葉に、膝(Knee)をポン(pon)と打つようなアイデア商品を夫婦で発信している。

 

 

どういう経緯でブランドを始めたか

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジの松岡です。うちは夫婦でやってまして、「ハイモジモジって名前の会社があったらおもしろいな」ってところから始まってるんです。由来は電話の「はいもしもし」。
そうなんですか。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
会社に電話がかかってきたら「はいもしもし、何々でございます」って言うじゃないですか。でも何億回も言うのは面倒くさいから、応答の言葉と社名が一緒になった会社があったら面白いよね、みたいな与太話を妻としてたんです。

 

 

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
で、もともとフリーライターをやってたんですけど、リーマンショックで仕事が全部なくなって「会社でも作るか」と思ったときに「そういえば、ハイモジモジっていう社名の会社があったら面白いって話してたね」って、妻が思い出したんです。それで「いい!やろう!」って。
ええ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
でも、やることは決まってなくって。一応、元ライターってこと「文字」をかけて「ハイモジモジ」なんですけど、文字に関する企画ができたらいいなと思ってたんです。でも、それも上手くいかなくて。ただ「LIST-IT」という腕に巻くメモを、起業する前から趣味で作ってたんですよ。
趣味で?
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
そうなんです。ハサミで切って手作りして、デザインフェスタに出してみたら、なんと完売しまして。
へええ!
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
正直ギャグで作ったのに売れて、お客さんから「これ絶対商品化したほうがいいよ」なんて言われて、ちょっといい気になってたんです。それを思い出して、じゃあ、こういう紙モノとか文具とか、自分たちの欲しいものを売るメーカーとしてやっていこうと決めたんですね。会社を作ったあとに、後付けで。
ハイモジモジさんのサイト、結構ずっと見てましたよ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ほんとですか?
他の文房具メーカーさんとは圧倒的に違う視点でモノを作られてるって、すぐ分かりましたから。まさかデザインフェスタから始まってるとは思わなかったですけど。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
いやほんと、文具業界でも何でもない素人ですからね。いまだに素人。
うちも夫婦でやってるんですよ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
そうですよね。
もともとふたりともアルバイトで、カフェで働いてたんです。
PICUS 穂波
PICUS 穂波

 

 

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
お料理されてたんですか?
厨房に入ってましたね。で。将来はカフェをベースにした雑貨屋さんをやりたいなと思って、新卒で雑貨メーカーに就職してお金を貯めてました。ただ、独立すると決めてた2009年にリーマンショックが起こって。ちょっと飲食店はリスキーだなってことで、まずはモノづくりから始めました。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
リーマンショックはみんなの人生を変えましたよね…。そのときはもう、ご結婚されてたんですか?
してました。結婚して、そのままスタートしました。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
穂波さんがモノづくりをされて、奥さんの役回りとしては?
電話番と出荷と。あと、基本的には考えたものを見てもらって、感じたことを指摘してもらって商品に改良を加えていく。そんな感じですかね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
監修役というかプロデューサーというか。
そうなるのかなあ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
うちは妻が作って、僕が売るんです。「作る」と「売る」が完全に分かれてます。
おふたりで作られてるのかと思ってました。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
違うんですよ。商品名を考えたり、サイトを作るのは僕の役目ですけど、僕はモノを作れないので。でも会社は最初、僕だけで始めたんです。
そうなんですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
妻が会社で働きながら、時間のあるときに「LIST-IT」を作ってくれてたんですけど、その次の「Deng On」というキーボードに立てる動物型のメモを妻がひらめきまして。

 

 

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
会社に勤めるよりこっちの方が面白そうだと思ったみたいで、いきなり会社を辞めてきたんです。そこそこいいお給料もらってたんですけど。
えええ!
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
なんか可能性を感じたみたいで。でも半年くらいは暇でしたけどね。
うちもですよ。電話も鳴らないし。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
電話、鳴らないですよね(笑)。当時、一橋大学の目の前に住んでたんですけど、電話の子機を外に持ち出して、大学のキャンパスで毎日バドミントンしてましたからね、ふたりで。
ははは、健康的でいいですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
もし電話が鳴ったらすぐ取れるように、木に立てかけて遊んでたんですけど、まあ一度も鳴らなかったですね。電話が鳴るようになったきっかけ、あります?
やっぱり展示会に出始めてからですかね。前職で勤めてた雑貨メーカーのツテで、メーカーが何社か集まるインテリア雑貨の展示会があったので、そこに出させて頂いたところから。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
前職ではどういう雑貨を作られてたんですか?
いろいろです、文房具から生活雑貨から。営業職で入ったんですけど、営業もするし、出荷もするし、何でもやってました。メーカーでもあり問屋でもあったので、ネタ探しもしてました。そこでいろいろ勉強できたのは大きかったですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
独立されて、最初は何から作られたんですか?

 

 

独立するときに「どういうイメージの商品を作るか」を固めるために、新婚旅行がてらロンドンに行って、ふたりで蚤の市を回ったんです。そこで古いタイプライターを買って帰って、タイプライターのキーをモチーフにしたストラップやブックマークを作りました。あと、アンティークキーをモチーフにした鍵型ボールペン。今はもうないんですけど。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
へええ。それって、素材は?
キャスト(合金)ですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
金属モノって、いきなり作れるものなんですか?
一応、前職のネットワークがあったので、工場を使わせてもらったり。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
なるほど。うちは紙のツテはあったので始めやすかったですけど、金属の世界はまったく分からないですね。革製品を作ったこともありますけど、それも全くツテがなくて、Googleに工場を聞くところから始めましたね。
自分も常に新しい技術を探したいので、それこそGoogleで探したりしますね。どうしてもひとつの工場と付き合うだけだと、作りたいものより「そこで作れるものを作ろう」って意識になっちゃうんで。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
商品によって取引工場が異なるんですか?
もう、全然違いますね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
商品全体に統一感があるから、同じところで作られてるのかと。
同じ真鍮であってもプレスや削り出し、メッキや塗装、得意分野が全然違うので。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ははあ、工程によって工場が違う、と。

 

PICUSのイチ押し商品

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
PICUSさんを代表する商品って、どれになるんですか?
うちは代表とか代表じゃないとか、あまり意識してないですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
全部売れてる、と。
そんなことはないです(笑)。一番長くやってるのはこのキーホルダーカードケースですかね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波

 

 

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
これ、テクスチャーが面白いですよね。
真鍮だと指紋がついちゃうんで、目立たなくする意味合いもあります。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ロゴのさりげなさもいいですね、主張をしない感じが。

 

 

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
それにしても、商品たくさんありますよね。
少しずつ作ってるだけですけどね。大手さんでは作れない、少量、中量生産で。自分たちで実際、作業もしますし。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
あ、手作りされてるんですか?
ハンドクラフト的なところはありますね。組み立てみたいな、大きい機械ができない部分は。このキーホルダーも自分たちで組み立ててます。木工のところは職人さんにお願いしてますけど。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
へええ。
やっぱり木工だけだと、どんなに頑張っても木工メーカーさんには価格的にも技術的にも勝てないんですけど。例えば木工と金属の組み合わせとなると、勝負できるところがあるのかなと。合わせ技でオリジナリティを出すというか。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
オリジナルとは「掛け合わせ」って言いますもんね。これは何ですか?

 

 

これはですね、説明がないと全く分からない商品なんですけども、ピックなんですよ、ケーキに刺して食べるやつ。形に残るグリーティングカードというのを作りたくて。ただのカードだと、引き出しに入れて取っておくとはいえ、その場だけのものだし、ろうそくも使ったらなくなっちゃうじゃないですか。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ああ。
だから「形に残るキャンドル」にしようってことで。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
なるほど。こうやって「HAPPY BIRTHDAY」って書いてたら、お誕生日にもらったものだって分かりますしね。
ただ、バイヤーさんには分かりにくいのかなと。最初はこのピックだけで売ってたんですけど、カード売り場に並ぶ方が分かりやすいかなってことで(ケーキを描いた)台紙を添えた経緯があります。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
FRATではこういう文房具メーカーさんが考えないような、新しい切り口のグリーティングカードとしてプレゼンできたらいいなと思ってます。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ええ。
言い方がアレですけど、説明がないと売れないものをあえてやりたいというか。お店としては置いてるだけで売れてくものの方が当然ありがたいと思うんですけど、お店の方がお客さんとコミュニケーションを取りながら「実はこうなんですよ」って薦めてくれる小難しい商品があってもいいのかなって。
PICUS 穂波
PICUS 穂波

 

 

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
そこを狙ってるのは面白いですね。
狙ってるとまではいかないですけど、そういうのもあった方が面白いのかなと。大手チェーン店では売りにくいけど、街の雑貨屋さんや文房具屋さんが説明しながら売れる商品があったら、業界的にも盛り上がるんじゃないかなと思ってます。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
すこし値も張るから、お店にとってもリターンが大きいですしね。
そうですね、そう思って頂けると。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
さんざん説明して「200円の商品かよ」ってなるとね、お店の方もモチベーションが上がらないですけど(笑)

 

ハイモジモジのイチ押し商品

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
うちはこの「WORKERS’BOX」がイチ押しです。

 

 

これ、いいですよね。ずっと欲しいなあって思ってました。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
デザインした妻が「今後これ以上の商品はもう作れない」って言ってました。
えええ!そんなに!
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
経営者としては「もっと作ってくれよ」と思いますけど(笑)、本人的にはこれが集大成ぐらいの気持ちみたいです。
いや、すごいですよ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波

 

 

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
これまでは「Kneepon(ニーポン)」という言葉を掲げて、膝を打つようなオチのある商品を作ってたんです。一発ギャグみたいな。でも、ウケたときはいいけど、ウケなかったらスベるじゃないですか。
(笑)
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
一度展示会に出した商品が、めっちゃスベったことがあったんです。ステージ出たけど、客、誰も笑ってへんみたいな。あれは辛かったですねえ。
ええ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ウケを狙った商品って当たれば大きいけど、会社としては続かないなと思いましたね。だから柱となる商品をしっかり育てて、それがあるから食える、余力でアホなことをする。そういう風に考えが変わりました。
経営者ですねえ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
いやいや、この境地に至るのに9年もかかりましたから(笑)。PICUSさんもこれまで続けてこられた中で、考えが変わったことってあります?
いやあ、どうなんですかね。何も考えないですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
あ、モノづくりに集中されてると。
そうなんですよね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ある意味、正しいですよね。いいモノをしっかり作って、FRATのような展示会に出して、販売のプロに売って頂くのが。
急に売れるものって、急に売れなくなりますよね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ええ。
だからある程度、波は打ちながらも、じわじわ売れていくのが一番いいのかなって、特に最近感じますね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
同感です。
やっぱり「長く売れるもの」を作りたいですよね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
お互いの共通点は「ロングセラー思考」なところですね。一年にひとつでも新商品を出すって、結構キツくないですか?
キツイです、ほんともう。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
別に野心がないわけじゃないけど、同じものがずーっと売れてくれるのが理想ですよね。
理想ですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
正直、SNSで発信しなくても売れるのが一番いい。何にも宣伝しなくても、商品だけ作って、あとはお客さんがいっぱい発信してくれたら。

 

 

確かに。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
ブランドって、勝手にお客さんが解釈して自分事にしてくれるものだと思うんです。だから、まったく発信しないわけじゃないですけど、あえてミステリアスなままでもいいのかなって。理想は、ですよ。現実は理想に追いつかないんで、こっちから発信しちゃうんですけど(笑)
あはは。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
それこそプロのバイヤーさんやお店の方が「こんなにいい商品なんですよー!」って薦めてくれるのが一番いいわけです。自分たちで言いすぎるのもアレなんで、なにより他薦が一番。
そうなんですよね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波

 

FRATに賭ける思い

ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
以前、商品の取扱店リストをサイトに載せてたんです。でも全国の店舗の在庫を常に把握できてるわけじゃないから、在庫の問い合わせがあっても「お店に直接聞いてみてください」ってなるんです。お店に対しても、少しは集客に貢献できるかなと思ってたのに「もう取り扱ってもいないのにリストに載せてるからお客さんからクレームが来たじゃないか」ってクレームをもらったこともありました。あやふやなリストを載せてると、お客さんも、メーカーも、店舗も、誰も嬉しくない。
ええ。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
だから今度「WORKERS’BOX PARTNERS」って制度を本格的に始めようと思うんです。普段からしっかり在庫してくださって、こちらとしても安心してお客さんに紹介できる店舗さんを「PARTNER」と呼ばせてもらって、そこだけをリストとしてサイトに載せていく。
なるほど、それいいですね!
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
だからFRATでは「パートナーになってくださいよ」ってお声がけしたいですね。単純に、お店の方と仲良くなりたいですし。PICUSさんはどういう方に来てほしいですか?
うちも長くお付き合いできるところに、商品をしっかりと紹介できたらなと思いますね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
他の展示会と違って、向き合ってお話できそうですもんね。
他のメーカーさんの商品も間近で見られるので、また新しい刺激が得られるのも大きいですね。
PICUS 穂波
PICUS 穂波
ハイモジモジ 松岡
ハイモジモジ 松岡
バイヤーさんと同志だし、メーカーとも同志だし。みんながそれぞれ仲間みたいな感じで、その場で新商品のアイデアが出ると面白いかも。
FRAT発のね、そういうのが望ましいですよね。競争というか、切磋琢磨して。
PICUS 穂波
PICUS 穂波

 

 

PICUSの公式サイトはこちら
ハイモジモジの公式サイトはこちら

【クロストーク】ノウト x ケープランニング

 

日めくり付箋カレンダーのジャンルを切り開いた「himekuri」シリーズを展開するケープランニングの木下さんと、そのデビューをクラウドファンディングで共にしたノウトの高木さん。「himekuri」を中心に良好な関係を築きつつ、それぞれの世界を突っ走っている両社の、改めましての対談です。新商品の情報もたっぷりお届けします。(聞き手~ハイモジモジ)

 

【プロフィール】

 高木芳紀 1971年名古屋生まれ。金沢大学卒業後に興和株式会社に入社、繊維、IT、光学機器の営業職を経験。その後、興和時代の先輩の家業である渋谷の老舗文具店つばめやにて通販部門を中心に担当。2017年にのれん分けの形で名入れノベルティ部門を継承。ノベルティ研究所を設立。 2012年より文具朝活会を継続、だいたひかるさんと年4回文具祭りを主催。扶桑社『文房具屋さん大賞』審査員長。

 木下良 紙卸(株)ケープランニング 印刷(株)カンベビジュアルを経営。紙の印刷の原価を使いオリジナル商品開発。日めくり付せんカレンダー「himekuri」2018日本文具大賞 機能部門優秀賞受賞。「1日1日を大切に」がコンセプト「himekuri」を展開。

 

 

ケープランニングって、どんな会社?

株式会社ケープランニングの木下です。紙卸の会社で、紙をいっぱい仕入れて印刷屋に売るのが本業です。そのケープランニングのお客さんにカンベビジュアルという印刷の会社があって、そこの社長が引退されるというので……
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
M&Aしたと?
しました。紙と印刷、2つの会社になって「作ること」はできる。あとは「アイデアがない」ってことで、ネット上でデザインコンペを始めたのがメーカー業のきっかけです。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

 

ノウト 高木
ノウト 高木
お父さんの代から何年ぐらいになるんですか。
もう35年ぐらい。当時、父の代は出版(の売上げ)が良かったんですけど、出版って返本がある世界なんですよね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

――印刷したものが返本されるんですか?

 

いや、うちにはないんですけれど、うちが紙を出版社に売ります、出版社は本を取次に売ります、売ってお金をもらいます。で、半年後に「半分残りました」と言って返本されて、今度は出版社が取次に(差額を)払います。こういうことをやっているので、紙屋に対する支払いが遅いんです。いまだに「半年以上の手形」です。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
ですね。
みんな売れるか売れないか分からない本を何千冊も作るわけです。でも、1回やればお金になるんです。そうすると会社としては売り上げになるわけじゃないですか。で、銀行に「これだけ売れたんだ」「次も作るから」と言って、お金を借りて。こういう風にどんどんやるんです。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
よく続くなあと思いますね。
やっぱり本にも当たり外れがあるので、たまに当たればいいわけです。たぶんそれだけ。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
問屋も強制的に配本したりして、お金を作る仕組みを作っているもんね。
だから本屋も(新刊を)入れるだけ入れて、並べてやるよというスタイルなわけです。だから、わーっと本棚にいっぱい並べるスタイルになっちゃう。去年、台湾に行ったんですけど、あっちはそういう文化はなくて、全部買い取りなんです。だから店舗は責任をもって売るし、ディスプレイがすごい。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
ああ。
それって文房具でも同じことが言えて、うちの「himekuri」は全部平置きで売ってくれてました。ひとつの商品を説明するのに、いろいろなアイテムをまわりに置いて盛り立てる、みたいなディスプレイが全部なんです。やっぱり買い取りのお店は、一生懸命売ろうとしてくれますね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

 

 

ノウトって、どんな会社?

ノウト 高木
ノウト 高木
ノウトの高木です。2年前に独立して、前の会社から任せてもらったノベルティの仕事をしながら、新しい文具をいろいろ作ってます。あと、去年からかみさんが(社員として)入ったので、デザインの仕事もしていて。大きく3つですね、どれが中心ということもなく、よろず屋的に。

 

――木下さんとは「himekuri」でご一緒されてますね。

 

ノウト 高木
ノウト 高木
昨年にクラウドファンディングを一緒にさせてもらって以来ですね。

 

――高木さんから声をかけられたんですか。

 

ノウト 高木
ノウト 高木
そうですね、展示会の会場で。
黒白(のバージョン)が並んでたんです。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
「もうちょっと派手さがあったほうがいいんじゃないですか」って声をかけまして。

 

 

じゃあ一緒にやろうかって感じで。こんなこと(大きな反響)になると思わなかったですね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
去年とか、マスコミにすごい露出して。日本文具大賞を受賞したら、特にテレビで、ぶわーっと。
テレビは18社、雑誌は47社でした。大きいのも小さいのもいろいろあるんですけれど、一般誌もありましたし、週刊誌にも載りました。とくにテレビ(の反響)はすごかった。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
(放送直後に)すぐ検索、みたいな。
日本テレビの「スッキリ」だったかな。あの番組、朝の8時台にやっているんですけれど、お昼過ぎまで注文が鳴りっぱなしで。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
うん。
去年の10月から年末まで、毎週土日はいろいろなところに行って店頭販売をやっていたんですけれど、必ず「himekuri」目当てに来てくれる人がいました。Twitterをよく見られていて「知ってる人は知ってる」って感じで。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
(情報を知るのは)ハッシュタグですか。
ハッシュタグもあると思います。(アカウントの)フォローもしてくれてるんじゃないですかね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
そうやって3ヶ月行脚されていたから(年末の)文具女子博に出たとき、完全に実演販売士になってましたね、トークが。ちゃんとお客さんを掴んでたもんね。

 

 

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毎週やってましたからね。でも一回、店頭に立つと分かりますよね、買いそうな人と買わない人。やっぱり文具女子博って売れやすいんです、お客さんは「買いに来てる」ので。でも、例えばショッピングモールで販売するときは、みんながこの商品を買いに来てるわけじゃない。あんな広い建物の一部分でやっていて、普通に歩いている人の足を止めて買ってもらうって、すごく難しいんです。ほぼ、運。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
ええ。
でも逆に、ここで買う人は本物。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
いかにアピールできたかが、ちゃんと表れますもんね。
「 1週間ごとに絵柄が変わる」って説明しても、なかなか分かってもらえない商品ですからね。めくっていかないと分からない。だからネット向きなのかもしれない。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
ネットだと、しっかり説明できるから。

 

――FRATに出展されるみなさんの商品、どこも説明しないと分からない商品ばかりで。

 

ほかと同じようなのを作っても売れないですからね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

――高木さんは最初のクラウドファンディング以降も「himekuri」に関わっていらっしゃるんですか。

 

ノウト 高木
ノウト 高木
うちは一番シンプルでカラフルなやつ(colorkuri)を引き続きやらせてもらっていて。1年目、2年目とちょっと変わったんですけれど、品質向上のためにさらにまた変えて。
2020年版はテカテカした紙に変えます。時期によって水分が抜けちゃうときがあるので、それを防ぐためにコーティングした紙で作ります。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

――定番でありつつ毎年変わるって、ビジネスとしては最強ですよね。

 

ノウト 高木
ノウト 高木
うちのはシンプルで、飽きられるのもあれなので、フォントをちょっとずつ変えてますね。

 

 

FRATでは、どんな新商品を?

 

―FRATで発表する新商品はありますか?

うちは「himekuri」ブランドで、「himekuri masking tape case」という箱を発表します。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

 

ノウト 高木
ノウト 高木
ガーリーな感じですね。
そうですね。マスキングテープのケースって(他にも)なくはないんですけれど、大体プラスチックとかで。このように紙でできていて、窓がついていて外から映えるものってないんです。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
いくらぐらいするんですか。
3,480円ですね。マスキングテープが40個ぐらい入ります。40個だと大体合計12,000円ぐらいになるので、12,000円のための3,480円のケース。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

 

――テープは消耗品でも、箱は一生モノですもんね。

これも「himekuri」と一緒で、すごく工程が多くて、手作業が多いんです。マグネットが入っていたりして、中もブリキが入っていて結構しっかりしてるんです。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
見た目は紙だけれど、実は。
マスキングテープって、みんな複数持ってるじゃないですか。多い人だと100とか200とか。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
その中から「1軍、2軍を入れてね」みたいな。

 

 

 

――高木さんも新商品ありますか?

 

ノウト 高木
ノウト 高木
僕はもう、木下社長に媚びていますので(笑)、「himekuri」を貼る用の白いカレンダーを作りました。まだ試作ですけど。

 

 

ノウト 高木
ノウト 高木
市販のカレンダーに不満がある人、多いと思うんですよね。文字が黒で、土曜は青、日曜は赤で「かっこ悪いなあ」みたいな。だから「シュッとしたもの」が欲しい人もいるんじゃないかなと思って、遠くから見るともう真っ白い紙が貼ってあるだけのカレンダーを作っちゃおうと。評判良かったら、真っ黒のも作ろうかな。

 

――「himekuri」を貼っていって、だんだん完成していく感じもいいですよね。

 

ノウト 高木
ノウト 高木
「himekuri」をバレットジャーナルで使うと、貼っていくとノートが結構な厚さになっちゃうんです。ちょっと書きにくくなるから、こういう別の使い方を提案しようかなと思って。

 

 

A4ぐらいにしたいよね、大きさ。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
あ、A4なんです。
そうか、そもそも(himekuriは7日分並べて)A4に収まるように作ってたんだった。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
ちょっと悩みどころなのは、6週分(のマスが)必要なんですよね、カレンダーって。上下が空きがちになっちゃうので、どうしようかなって。
全部5週にするとか。でも月がまたいじゃうんですよね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
とにかく「himekuri」をコアに、サードパーティー的な感じの新商品を出します。

 

 

2020年版himekuriに新展開

「himekuri」の2020年版は8種類あるんです。今年までは4種類でしたが、8種類に増えます。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
ええ。
高木さんの「colorkuri」と、引き続き猫の柄もあるんですけれど、今度の猫は1週間ごとに全都道府県を旅していきます。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

 

他にもコンペで決まったおみくじになる切手のデザインのものや、堤信子さんが本を出された「つつみ紙コレクション」の画像を使ったものもあります。
ケープランニング 木下
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ノウト 高木
ノウト 高木
(包み紙の)写真は使っていいんだっけ。
そこは話を通しました。あとは「毎日、文房具。」プレゼンツの文房具柄。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
おお。
全部で26社の文房具メーカーに許可をとって、たとえばトンボ鉛筆やキングジムの商品を1週ずつ描いてます。これにノートが付いてます。
ケープランニング 木下
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ノウト 高木
ノウト 高木
その週になったら各メーカーがツイートしてくれますね。
1年間のうち53週あるので、2週間に1回は必ずどこかがしてくれるはず。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

――名だたる企業がよく承認の壁を越えましたね。

 

あともうひとつは、伊佐知美さんという世界中を旅している女性の写真を使ったもの。1週間ごとにベトナムやミャンマー、ペルーのマチュピチュとかの写真が現れます。QRコードがある「旅のノート」付きで、その土地の情報が分かります。旅のエッセイを書く伊佐知美さんならではの。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
QRで読み取ると、どうなるんですか?
Google Mapでその土地に行けます。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
あ、じゃあストリートビューとかで。
見れるんです。あともうひとつはコンペからで、その日の気分を宇宙のような黒い台紙の座標に貼っていくと(自分だけの)銀河になる、っていう。明かりを消すと光るのあるじゃないですか、あの紙を使ったシールになってます。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
どれも仕掛けがありますね。
再来年どうしよう。もうネタが(笑)
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

 

 

 

FRATについて

 

――最後に、FRATへの意気込みを聞かせてください。

ノウト 高木
ノウト 高木
うちはもう本当に駆け出しのメーカーなので、いろいろなお客さんにちょっとでも知っていただきたいなと。小売店さんの知り合い、全然いないんです。バレットジャーナルに使える「ノンブルノート」もあるので頑張らなきゃ。

 

 

 

 

――会場にはどういうバイヤーさんに来てもらいたいですか?

ノウト 高木
ノウト 高木
結局うちらがやっているのって、紙で、紙商品なので。書くことが大好きで、そこらへんをよく理解してくださってる方にご提案ができれば。やっぱりちゃんとファンが付いているお店がいいですよね。
メーカーとしても責任をもって作っているので、どういう風に使う商品なのかを理解して売ってほしいなと思いますね。あと「himekuri」ってローマ字の商品名で、世界を目指して作っているので、外をめがけて売って行きたいですね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下

 

――その点、海外のバイヤーさんにも来てもらいたいですよね。

まず国内で売れれば、海外(の人気)も自然とついてくるのかなと。中身は全部日本のものなので、日本の良さを広めてもらえればなと思います。実際、台湾に行くとすごいんです。催事じゃなくて店頭で、全部売り切れてましたもん。みんなネットを見て(知って)るんですよね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
とにかく「熱いバイヤーさん求む」ですね。
一緒に話し合えるようなバイヤーさんね。
ケープランニング 木下
ケープランニング 木下
ノウト 高木
ノウト 高木
仲間、みたいな人。
今回のFRATのテーマは「一緒に船に乗ろう」って感じでしたよね。すごくいいと思います。何年かすると、今までとは(ビジネスの)やり方が変わってくると思いますよ。(作る側と売る側が)お互いに考えていかないと生き残れませんから。
ケープランニング 木下
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【クロストーク】ぺーパリー x 100percent

紙でできた「インテリア雑貨」として種類も豊富な「Kamiterior」ブランドを展開しているぺーパリーの吉澤さん。いろんな素材に眠る可能性に目をつけて、斬新なプロダクトを発表し続けている100percentの坪井さん。お互い初めましての間柄ながら、モノづくりにかける思いやFRATに期待するものを存分に語っていただきました。(聞き手~ハイモジモジ松岡)

 

【プロフィール】

 吉澤光彦 東京都出身。立教大学卒業後、老舗宝飾会社に入社。その後、家業の紙製品製造会社に転職。紙の魅力にはまり、深く携わりたいと思い、自ら起業してペーパリー株式会社を設立。2010年kamiteriorブランドを立ち上げ、現在に至る。第一回OMOTENASHI selection金賞他、商品のデザインやコンセプトにおいて多数受賞。

 坪井信邦 1977年生まれ。2006年に株式会社100percentを立ち上げて、「違いを生み出し届ける」という企業理念のもと自社ブランドや直営店、ドイツ、台湾のグループ会社を営している。曹洞宗の寺院に生まれたことから僧侶もたまにしている。米国公認会計士。

Kamiteriorって、どんなブランド?

 

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー株式会社です。2011年の東日本大震災の時ぐらいからカミテリア事業を始めました。それまでは企画デザインの会社で紙製品を企画したりして、取引先はブランド会社が多かったんです。でも震災の時、自粛したじゃないですか。何もできなくなっちゃって、じゃあその間に「自分たちでやろう」ってことで。
ええ。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
自分たちができることと言えば、紙。紙モノで実用性のあるもの、「用の美」をやろうかなって。最初、紙を蝶の形に抜いて貼れたら面白いと思って抜いてみて、「丸めると立体になるよね」って発想になって。なにか挟み込んで立体になったら中が見えなくていいじゃん、みたいな感じになって、看板商品「ku・ru・ru」が生まれました。

 

 

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ある時、テレビの企画で「第一回紅白文具合戦」というのがあって、取材に行っていいですかって電話がかかってきたんです。取材を受けてみたら、大手メーカーさんも入っている中で紅組のオオトリだったんです。放送後にネットで反響があって、1日40~50個ぐらい出荷してました。注文が減らない。
ここから出荷していたんですか。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そうなんです、ヤマトさんに毎日2回くらい集荷に来てもらってました。震災の翌年かな。それで、やる気になっちゃったんです。
たくさん種類ありますもんね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
様子見で作ってみて、売れなかったらやめようっていう、せこい考え方で。怪我しない程度の、原価を割り出せる感じの数量を作って。
でもここは残っているものは、やっぱり売れるから継続していこうってなったものたちですよね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そうです、廃番はまだないんです。パッと散るのは嫌だから、当初は量販店に卸さなかったんです。だから美術館のミュージアムショップを中心に置いてもらっていて。
イメージもいいですしね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ブランディングでもありましたね。主要な美術館に入れてもらって一巡しました。
この「OMOTENASHI selection」って、東京オリンピックが関係しているんですか。
100percent 坪井
100percent 坪井

 

 

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そうなんです、2015年度が第1回目で、東京オリンピックに向けて日本のいいものを海外に発信していくってことで始まって。衣食住の「住」の部門で金賞をもらって、授賞式はホテルオークラでやりましたね。

 

 

100percentって、どんなブランド?

株式会社100percentです。初めは弟と始めたんです、この会社。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そうなんですか。
3歳年下の弟がいまして、彼が多摩美で、環境デザインというか、プロダクションとグラフィックの両方をかじった学科を出ているんですね。それで大学在学中に考えたアイデアを商品として作ってくれないかとかと言われて。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ええ。
僕は当時、アメリカで働いていたんです。アメリカで働くために公認会計士になって、会計事務所で働いたり、シリコンバレーで半導体関係の会社にいたりして。
100percent 坪井
100percent 坪井

 

 

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
知識階級じゃないですか。
アメリカで働くためには何が必要かと考えて、会計の勉強をして資格を取れば入りやすいかなと。でもシリコンバレーに4年もいると、だんだん自分の会社を持ちたくなる気持ちが芽生えてきたんですね。当時28歳だったんですけれど。そこへ弟が話を持ち掛けてきたので「じゃあ分かった」と資本を出して、一緒に会社を始めたんです。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
カッコイイね、シリコンバレーで。
そんな感じで始まったんですけれど、日本で働いたこともなかったし、雑貨業界とかインテリアショップも知らなかった。モノ1個作るだけでもお金って結構かかっちゃうし、資本金もすぐになくなっちゃうんですけど、なんだかんだで最初に3~4アイテム作れて、ロンドンの展示会で発表したのが最初ですね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
社名もカッコイイですよね。
アメリカで働いていたこともあり、もともと海外志向は強かったので、世界共通である数字だったりインパクトってところを大事にして。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ええ。
デビューした当時は「デザイン」って言葉が脚光を浴びていた時代で、主だったところと取り引きが始められた状況があって。商品数が少ししかないのに口座を開けてくれるお店があって、そこに助けられましたね。ロットも当時12個とかで、しかも掛け率も高かったんですけれど。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
でも買ってくれた?
買ってくれました。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
いい商品だからですね。
そういうことから始まって、おかげ様でメディアとかでもいろいろ取り上げられて、テレビにも出させてもらったりして。うちの場合、商品がお客さんやメディアを連れてきてくれたり、海外の引き合いを連れてきてくれたりするんです。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
それ、理想ですよ。やっぱり一番の営業マンは商品だって、私も思っているんです。いい商品はいい人を呼ぶから。

 

FRATイチ押しの商品

手の上でポンポンすると元に戻る鶴のシリーズ(Peti Peto)がありまして。
100percent 坪井
100percent 坪井

 

 

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
いいですよね。これって形状記憶なんですか?
形状記憶に近いです。プリーツ加工を施して、かなり強い折りで。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そうなんだ。
一番売れているのは鶴なんですけれど、本当にポンポンってすると元に戻るんです。マジシャンにも売りましたね。「マジックのネタに使いたいから」って言われて。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
プリーツでこうなるの? 不思議だなあ。
試作を100個近くトライしました。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
眼鏡拭きとか、クリーナーになる?
眼鏡とか液晶を拭くものですね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
いいよね、使い方が。
アイデアでいろいろな可能性が開けるのは、やっていて楽しいですし、やりがいに繋がりますね。
100percent 坪井
100percent 坪井

 

――どういう経緯で企画されたんですか?

「デザインを売り込みたい」という友人がいて、初めは別のアイデアだったんです。食事をする時に使う、膝の上に敷くナプキン。ああいうのが折れてたり畳まれてたらいいよねって話になって。でも布ってやっぱり、綿とかじゃ折れないんです。ただポリエステルとかの合繊だったら折れる。セーラー服のスカートがそうなんです。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ああ、あのプリーツか!

 

 

だから食卓では見慣れないものだけど、ともすれば毎日みんな目にしているものでもあって。そういうところに盲点というか、可能性ってありますよね。プリーツ屋さんも、まさかお洋服じゃないものでプリーツを使うとは思ってなくて。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ええ。
僕はデザインを勉強したわけでもなく、何かの技術に長けてるわけでもないですけど、常識が分からないから「できません」って言われたことを、素人みたいに「なんでできないんですか?」って思っちゃうんです。でも「頑張ったら意外とできる」ってことを色んな素材で感じてるので、この国のモノづくりの可能性を感じますね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
折り鶴って、日本人は折れるんだけど、外国の人は折れないんだよね。
ええ。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
うちの商品も図面はついてて単純なんだけれど、できない。日本だと「頭の体操になるからいい」っておばあちゃんが言ってくれるんだけどね。

 

 

これはでも、やばいですよね、外国人には。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
丸めちゃうと今度、結びたくなるじゃないですか。神社でおみくじを結ぶのが頭にあって、それで、これを考えたの。
おみくじの結び方と同じ結びでできてるのがすごいですよね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そこがミソなの。
大事な部分ですよね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
あ、この北斎の浮世絵のやつは喜ばれますね。丸めて差し込むだけで、簡単だから。

 

 

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
だから御社の鶴もポンポンするだけで形になる。外国人には(このシンプルさが)大事。
こんなに種類を増やされてるのは理由があるんですか。つまり横展開をすることは、今までのシリーズを諦めていることにはならないのかと。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
全然、諦めてはいないです。日本の流通って激しくて、要するに求められちゃう。新しいものを。
ああ。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
フランス人のバイヤーが「なんで日本ってこんなに(新商品を)いっぱい出すの?」って言うんだけれど、向こうはとにかくオーソドックスなものをずっと長く売る。モデルチェンジなんてしなくていい、いいものはずっと長く生きるって考え方がヨーロッパにはあるみたいで。一方、日本の文具業界は異常なほど(サイクルが)早い。
別に消費者が飽きているわけじゃないんですよね。知らないうちに、もう新しいものができてたりして。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
でも、自分たちが作りたい欲求もあるんです。ただ求められて増やしているんじゃなくて「作りたい」と思ってやってますね。

 

 

 

FRATにはどんな新作を?

僕らは新商品を発表します。いま3つの案件が同時に動いてるんですけど「文具関係に親和性のあるものを」と思ってます。FRATは新しい文房具の業界を作ろうとしている中で、文房具業界というか、何業界か分からないですけれど、そことはちょっとだけズレた僕らがどんな風に映るのか見てみたいなと。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ええ。
今、リブランディングして、大きく2つあったブランドを一つに集約しているんです。FRATを開催するころにはちょうど見せやすいような状況になっているんじゃないかと思うので、新作をプラスして新しい100percentを見せられたらなと。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
素晴らしいですね。
あとK3(ケイキュービック / FRAT実行委員会の中心メンバー)の人たちがみんなナイスガイだったので、例えば僕らと取り引きのあるお客さんを1社でも2社でも連れて来れたらいいなって思ってます。
100percent 坪井
100percent 坪井

 

 

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
うちも動いてるのは2案件。去年、別の展示会で出していたものが、製造が全然上手く行かなくて。満足したものを出したいから改造に改造を重ねてたら、今になっちゃった。
僕らも当日まで上手く行くか分からないし、間に合わなかったっていうオチも結構あるんですけれど(笑)
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
でも出しておかないと。正直言って早いんです、この業界って。
流れが。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
だからとにかく「うちがこういう商品を出すよ」って示しておかないと、すぐに同じようなものを(他社から)出されちゃうから。もし同じようなものを出されたら、うちはもう出さないから。
ああ。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
特に成型物はお金がかかるから、めったやたらにできないじゃないですか。だから試作する前の段階で随分調べたり、コストを計算する。金型を1個作って「失敗しました」じゃ、アウトになるから。その点、紙でできるものは比較的変更が利きますけどね。
僕らは型物ですね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
大変ですよね。
そう言われると、確かにそうかも。でも逆に、僕は紙をやらないんです。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
というと?
僕みたいな紙の素人が、うちのブランドとしてこの素材(紙)をどう活かすかって考えたときに、まだ誰もやってないこと、うちが勝負ができそうな要素がないと(その分野に)行けないんです。それこそ紙の商品はたくさんありますし。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
でも、なんかすごく面白そうなことをやりそうな感じがする。
そんな、全然ですよ。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
(みんなが)ガクンと来るようなことしそう。
ないです、ないです。全然出てこないので、紙に関しては。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
きっとありますよ。だって姿勢がいいですもん、モノづくりに対しての。

 

 

FRATにかける思い

絶対にいいお客さんを連れて来たいですね。ただ開催が2日間だから、絶対事前に知らせておかないと。急に「2日だけです」って言われても困るバイヤーさんがいそうじゃないですか。だから「まずFRATを見ておかないと」と思わせられる会になったらいいなと思っています。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そういう魅力ある会にしないとね。
なにか面白いことをやる会だって、絶対に(バイヤーに)言っておこうと思ってます。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ただ漠然と集まってるだけじゃなくて「あの展示会はすごいね」って言われたいですよね。
そこでバイヤーさんに声をかけるとき、一番言えるのは「この日に新作を出します」ってこと。それしかないけど、興味があったら来てくれると思うので。
100percent 坪井
100percent 坪井

 

――FRATに期待することはありますか?

ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
やっぱり出会いですよね。メーカー同士もそうですけれど、こうして坪井さんとお会いして、かなり刺激を受けましたから。違った視点の人がいるというのは、やる気スイッチが入りますよね。お仕事やりたいなってなるし、ワクワク感がある。
僕も出会いに期待ですね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
別の展示会に初めて出たときのワクワク感を思い出すんです。会場に行ったときに「ここでやるのか」みたいな緊張感があったじゃないですか、下手なものは出せないぞっていう。ああいうのって必要だなと思います。FRATに出る以上はただ単に参加するんじゃなくて、いい意味で目立ってやろうと思ってます、商品として。
僕は「EXTRA PREVIEW」という展示会にキュレーターの立ち位置で関わっていますけど、それだけだと世界が狭くなっちゃう思いもあって。別の視点で自分を見せたい、見られたい。角度がちょっと違うだけで気づくこともあったり、気づかれなかったこともあっただろうし。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
ええ。
僕らの商品は違和感というか異質な部分もあると思うんです、みなさんの商品と。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
いや、逆にむしろ、その方が面白いかもしれないです。だって今のお店って幅広く、ライフスタイルのものを置いてるじゃない。
カテゴリがいろいろ多岐に渡ってますもんね。
100percent 坪井
100percent 坪井
ぺーパリー 吉澤
ぺーパリー 吉澤
そういう意味でFRATは面白いと思います、文具だけって限定するよりも。

 

 

ぺーパリー(Kamiterior)のサイトはこちら
100percentのサイトはこちら

【クロストーク】東洋紡STC x バックストリートファクトリー

 

東洋紡の新素材、折れるポリエステルフィルム「オリエステル」を広めるべく奮闘されている東洋紡STCの鈴木さんと、繊細なレーザーカットで世の中の度肝を抜いた「千代切紙」で大ブレイクされたバックストリートファクトリーの臼井さん。どちらも「折り紙」という共通点を持ち、片や上場企業、片や町工場という立場の違いを交差させながら、モノづくりやFRATにかける思いをぶつけていただきました。(聞き手~ハイモジモジ松岡)

 

【プロフィール】

 鈴木孝治 1968年大阪生まれ、神戸育ち。(話題の)岡山理科大学卒業後、東洋紡の化学系子会社に入社。技術、営業、広報を経て、再度営業に舞い戻る。2010年、親会社に吸収され東洋紡社員に。新素材の「オリエステル」を広めるため、休日返上で日本全国を飛び回り…、おいしいものを食べてます(笑)

 臼井基樹 1974年生まれ、神奈川県出身。国立九州大学大学院中退。その後世界一周の旅に出て、様々な商材探しを行い、四国の石材商社で4年間半の丁稚奉公。31歳で独立起業しジュエリー製造メーカー、コンサルティング、輸入商社など事業を行う。東京荒川の町工場社長と新しいメーカー事業を起こすため(株)バックストリートファクトリーを設立し、町工場謹製の文具を開発発信している。お散歩番組はじめ多くのテレビが工場を取材に来る。

 

上場企業と町工場

 

――まずはお二方、自己紹介をお願いします。

株式会社バックストリートファクトリーの臼井と申します。東京の荒川区で町工場をやっています。荒川区は農家が一軒もない特殊な地域で、小さな町工場が3000社以上集まってるところなんですね。1階が工場、2階が住居みたいな形がすごく多くて、超小規模の専門的な力を持った町工場がいっぱいある場所なんです。うちもその中で、レーザー加工で紙を切ることに特化した事業をメインで展開してまして、町工場の技術を活かした新しいモノづくりをしています。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STCの鈴木です。東洋紡の100%出資で、業態的には商社になります。本社が素材や技術を持っていて、普通であればBtoBの商売なんですけど、フィルムでできた新しい素材を一般の方にも使っていただきたくて、「オリエステルおりがみ」を商品化しました。
東洋紡さんは一部上場の企業さんで、そこの子会社だとしても1件あたりの受注額が何十億とか、それこそ本体でいったら何千億って売り上げを立てる企業さんですよね。ちょっと失礼な話なんですけど、こういう取り組みって売り上げ貢献という意味では(社内で)目を背けられちゃう、みたいな感じではないですか?
BSF 臼井
BSF 臼井

 

 

東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
おっしゃる通りです。ただ、素材としては新しいもの、世の中にないものですから、これからの可能性はあると思うんです。ですので関わる身としては「会社のひとつの柱になるように」という思いでやってます。
売り上げ重視というよりも、宣伝や広報活動といった部分も求められてるんですか?
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
そこは微妙なところで、認知度も売り上げもまだまだこれからというのが実情なんです。当然、民間企業なので売り上げを持っていきたいんですけど、まずは知ってもらって、触ってもらわなくちゃいけない。僕らの一番の仕事は「認知度を上げる」ことかなと。
東洋紡さんにはパブリックなメーカーというイメージがあって、例えばお客さんに自動車の大手メーカーさんや家具屋さんがいると。そういう企業さんがエンドユーザー向けの商品を手掛けることに興味があります。つまり会社の上の人たちに柔軟性があって、いろんなチャレンジをさせてくれる会社さんなのかなって。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
我々の仕事は社内ベンチャー的なところがあって、そういう流れになりつつあります。そもそもBtoC自体をやってないですから、やることなすこと全部新しいんですよ。これまでの社内のルールに則ってみると「それはダメ」「あれはダメ」って感じになるんですけど「そこはやらしてくださいよ」って通すこともあれば「それはちょっとやらしたれ」と言う上の方もいたりして。

 

 

なるほど。逆に僕たち小規模の町工場は、元請けの東洋紡さんに対して、下請けの下請け。バブルの頃は町工場全盛で、上からどんどん仕事が下りてきたけど「このままじゃヤバいんじゃないのか」というのが出発点としてあって。今まで何十年も仕事をくれてたところが倒産するかもしれない、仕事がストップしてこっちに回ってこないかもしれない。だから自分たちでより上流、つまりエンドユーザーの方に近づいて行かなければメーカーとして生き残っていけないんじゃないかと。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
結局、悩みや考え方は一緒だなと思いますね。偉そうな言い方になりますけれども、うちの会社も今までと同じことをしてたんじゃ、会社として成長しないと思うんですね。その中で、たまたま面白い商材が出てきた。僕らとしても、社内にひとつの部ができるまで育てていきたい。方向が違うにしても、たぶん考え方は一緒なんだと思います。
そうですね。僕たちは、どちらかというとモノを作ることはできるけれども、素材に飢えてるんですね。先ほど鈴木さんの名刺を見せてもらいましたけど、この素材がレーザーでちゃんと切れて、収縮しなくて、風呂敷みたいな包むものができないかなとか、普段からそんなことばっかり考えてて。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
我々は素材を持ってますし、技術もいっぱいあって、でもそれをうまく世に出せてない部分があるんですよね。それが世の中の役に立つ新しい商品になるなら、僕が扱う商品じゃなくても、それはそれでいいんじゃないかと思ってます。
例えば東洋紡さんに「素材辞典」があったら、僕は必ず見に行きます。来週から海外出張なんですけど、素材を探しに行く旅なんですよ。今までなかったものを違うカテゴリに応用できるものを探す旅。そういうの、すごく好きなんです。だから今日のご縁で、本格的にどんな素材をお持ちなのか聞きたいと思っているところです。
BSF 臼井
BSF 臼井

 

――素材ってニーズがあって作るものなんですか? それとも「こういうのを作ろう」と?

 

東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
当然ながら二通りあるんですが、この「オリエステル」のフィルムはプロダクトアウトです。よくペットボトルに巻いてるフィルムがありますよね。あれ、うちの会社が作ってるんですね。あれの新しいパターンを、と作っているうちに、たまたま「折れるフィルム」ができたんですね。

 

 

ペットボトルのフィルムは折れちゃいけないですもんね。形状記憶しなきゃいけない。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
それで、折れてはいけないのに折れるのができたので「折れるフィルム」として売られへんかなと。ただ「みんなすごいね」って言うけど、結局、何に使ったらいいか分からないわけですよ。そこで折り紙を作ってみたり、紙の代替ってことでブックカバーを作ってみたり。そのサンプルが非常に評判良かったので、商品として商売できるんじゃないかというのが始まりですね。

 

資本があるか自由があるか

うちのメンバーは5人いるんですけど、月に1回、制作会議をやってるんですね。今年のポイントとしては、自分たちの強みを活かす。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
ええ。
レーザーの専門家と糊付けの専門家が集まって付箋を作ってきて、違う分野に行こうかって話もしてたんですけど、いやいや待てと。やっぱり今年は強みを徹底的に活かして、十中八九失敗してもいいから1個当たったらそれでいける、って戦略で今年は行こうって話をしていて。その中で課題になってくるのが、やっぱり素材。中小企業の社長として、いつも頭の中にあるのは「大手さんはうちらと付き合ってくれないんじゃないか」って悩みがあって。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
はい。
例えばバルク何トンとか、1ロール5kgとか。そんな量じゃ手に入れられないなと思っちゃう部分があります。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
物にもよりますけど、今の時点でお出しできるものとしては、やっぱり最低4000mとか。
そうですよね。でも4000mもらっても「置く場所ねえよ」っていう(笑)
BSF 臼井
BSF 臼井

 

 

そういうところで足踏みします。今、ある研究者たちの研究材料をもとに、いろいろモノづくりしたいと思って声をかけてるんです。すると先生たちは「小ロットのものは作れても大ロットは作れないから工場が必要なんだ」と。でも、うちらも工場なんて作れないし小ロットでいいかな、みたいな。研究所はいい素材を持ってるけど量産できない悩みがある、こちらはアイデアはあるけど事業規模に乗らない。マッチングがすごく難しいなと。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
そうだと思います。
オリエステルのフィルムも実際、ロールで納品されるんですか?
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
基本的にはロールですね。実はこれ、フィルムを2枚重ねてるんですよ。透明なフィルムに印刷して、その上にもう1枚透明なフィルムを重ねて、インキ面が出ない安全設計なんです。
二重になってるんだ、すごいな。
BSF 臼井
BSF 臼井

 

 

東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
食品包装用の用途が多いので「安全には気を使いましょう」という方針があるわけです。
お弁当の包み紙とかに使えそうな感じですもんね。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
(コストを)安くしようと思ったら、フィルム1枚に印刷するだけでいいんです。でもそれだと、小さいお子さんが口に入れたらインクが剥げたりしますので。
うちは逆に、機械化がほとんどされてない工場で、人が手差しで置いてます。例えば「千代切紙」Twitterでリツイートが広がって、2か月ぐらい工場が閉まらずに、周りに怒られながらひたすら作り続けました。無在庫でもいけるところは強みだから多品種少量で作れるけど、人件費がかかる分、値段も上がってしまうジレンマがいつもあって。
BSF 臼井
BSF 臼井

 

 

――千代切紙って、どういうきっかけで生まれたんですか?

うちの生産部門の者が、ガルバノレーザーを導入したときに「どこまで細かく切れるのか」をチャレンジしたんですね。外部のデザイナーで切り絵作家がチームにいるので、切り絵の技術を活かして和柄や江戸小紋を極限まで彫り込んだらどうなるか、ってところで出来上がったんです。
BSF 臼井
BSF 臼井

 

――実験から生まれたんですね。

そうですね。うちの場合、必ず実験から商品が生まれてしまうので、最初は原価を考えてないんですよ。考えずに作って、後から「1枚3000円」とか言うから「全然コスト合わねえじゃねえかよ」みたいな。作る側がいつもそうなんで、いつもぶつかるところですね。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
(笑)
常に技術部門と売る側のエンドユーザー部門と、プロダクトアウト、マーケットイン、そのせめぎ合いをいつもやってますね。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
我々もそうですけど、なんぼ良いものでも高かったら売れないじゃないですか。やっぱり世の中、売れる価格帯というのが決まってるんですよね。それに合わせるためにどうするかって考え方をするんですけど、そうなると異常にロットを作らなくちゃいけなくなる。それを捌けるのかって不安はあるので、初めは利益を葬ってでも、まずはみんなに知ってもらおうと。回り出したら大量に作ればいいし、合わなかったらやめてもいいかな、って感じでスタートしてますね。
羨ましいです。うちだと一品一品がチャレンジ(笑)
BSF 臼井
BSF 臼井

 

 

東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
そういう意味では僕も一緒です。社内ベンチャー的な感じなんで、要は「やめろ」って言われたら終わりなんです。
そうですよね。たぶんお互いにいいところと悪いところがあって、こちらは一個作ったものが売れないと、なかなか次へ行けないフットワークの鈍さがある。だから売れることを予測して作る。でも、十中八九じゃないんですよね。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
必勝パターンはあると思うんですけどね。
今うちがチャレンジしているのはクラウドファンディング。事前にマーケット調査をする形で使ったりしてます。ただ、クラウドファンディングを利用する人たちは一般の店頭市場でモノを買わないような、一般の人たちよりもはるかに上流側にいる人たちが多くて。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
ええ。
買う目的が違うんです。新しいモノを作ってる人たちが支援したいとか、自分は前衛のところでものを見てる自負のある人たちがいる場所なので、実際に店頭で売れるものと結構タイムラグがあるというか。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
投資に近いですね。
おっしゃる通りです。一度クラウドファンディングでアップセルをやってみたんですよ、最初買ってくれた人に「あと2個買ってくれたら1個プレゼント」って。そしたら「ふざけんな」と怒られたんです。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
(笑)
「そんな思いで支援してるわけじゃありません」みたいな。ただ、僕たちのような中小企業の強みは、致命傷を負わない失敗をたくさんできるところ。思いついたら試作ができるのは良いところですね。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
羨ましいですね。
今日のトークのポイントは、お互いに羨ましいところがあることですね。うちは資本がないけど自由がある、御社の場合は資本があるけれど自由裁量が限られる。でも、その中でもすごく理解力のある方たちが上にいる。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
そうですね、幸運なことに。

 

FRATにはどんな商品を?

うちはFRATで新商品を2つ出す予定です。音楽にまつわる付箋で、ベートベンやモーツアルト、シューベルトを切り絵でできないかと試作してます。
BSF 臼井
BSF 臼井

 

 

東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
面白いですね。
今度お札が変わるじゃないですか。例えば渋沢栄一さんをデフォルメしてみたり、坂本龍馬とか世界の偉人付箋みたいなマーケットがないので、ちょっとやってみようかなって。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
渋沢栄一だったら、うちの会社に売れるかもしれないです。創業者が渋沢栄一ですので。
そうですよね! 東洋紡さん、もとは東洋紡績。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
昔の大阪紡績と三重紡績が合併して東洋紡績になりましたね。
渋沢栄一が大好きなんです。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
そうなんですか。
生家に行ったり、伝記や『論語と算盤』も読んで、ああいう経営者になりたいなって思うんですけど、なかなか中小から抜け出せない(笑)
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
渋沢栄一版ができたら、うちの広報に配りますよ。
御社の「オリエステルおりがみ」も、絵柄を趣味趣向に寄せていくとマーケットに入りやすいですよね。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
ゴジラやエヴァンゲリオンのバージョンはありますね。ゴジラは地上波で映画が放送される度に売れますし、エヴァもいまだに根強いファンがいて。幸運なことに2019年はどっちも映画がリメイクされますので、今度また(新しいバージョンを)出すんですよね。あとはみなさんが好むような伝統柄であったり、ガラス系であったり、あとはホログラムとか電車とか。
電車は面白いですよね。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
うちは今回のFRATではネット限定で販売していた桜柄を出します。透明をベースにしながら色がピンクと金で、普通は15cm角だけなのを小さいフィルムも一緒に入れようかと。あと、おそらく間に合うと思うんですけど、2件ほど新しいデザインを出そうと思ってます。

 

 

あと、うちは地方の一番店さん向けにオリジナルのものを作る企画を考えてます。例えば福岡の方であれば福岡に関係する柄であったり、ご当地系のオリジナルをうちの技術を使って、そのお店でしか売ってないものを作るとか。小ロット生産が得意なので、FRATで「オリジナル作りません?」って声がけをさせてもらいたいなと。
BSF 臼井
BSF 臼井

 

FRATにかける思いは?

東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
文具を愛する人たちがFRATに集まるので、そういう人たちに知っていただいて、そこからの広がりを期待したいですね。あとは世界中から来られるイメージがあるので、海外の人にも見ていただきたい。今まで知ってる折り紙とは全然違うものだってことを、まずはコアな人たちにじっくりお話させてもらいたいなと思っています。
今回メーカーが26社も集まってやれることに意義を感じてます。年に何回かでも会った時に「こういうことやってるよ」とか、すごく励みになっていて、ライバルでありながら同じ方向を向いているなと。小さいところから大きいところを目指す人たちがいっぱいいる場所に参画できるところが大きな魅力かな。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
ええ。
ひとつ考えたのは、例えばお土産物として、御社の「オリエステルおりがみ」とうちの「千代切紙」で、完成品を売るのはありかなと。空港や浅草のお土産屋さんで、1個600円とか700円ぐらいで展示物として売る。
BSF 臼井
BSF 臼井
東洋紡STC 鈴木
東洋紡STC 鈴木
ありだと思います。外国の方は折れないから、折ったものが欲しいんですよね。
そういうコラボレーションしたいですね。
BSF 臼井
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【クロストーク】国宝社 x 神戸派計画

 

創業100年を誇る製本加工業の国宝社さんと、たしかな印刷技術を背景にプロダクトを発信している神戸派計画さん。「老舗」と「紙」という共通のバックボーンを持ちながら、果敢にオリジナル・ブランドを発信している両社から、第一線で活躍されている木村さん、樋口さんに登場いただきました。デジタル全盛のこの時代に、あえて紙を使う理由とは。興味深いトークが繰り広げられました。(聞き手:ハイモジモジ松岡)

 

【プロフィール】

木村秀継 1983年東京生まれ、東京育ち。日本大学卒業後、独立系IT企業へ入社。10年後退社し、親族経営する製本加工業を行う「株式会社 国宝社」へ入社。「人手間(ひとてま)」かけたものを作りたい気持ちから、自社ブランド「国宝堂」がスタート。2018年「板橋製品技術大賞 審査委員賞」受賞。

樋口香連 神戸出身。大学卒業後、惚れたフランス人を追って渡仏。パリでスタートアップのお弁当屋さんで店長をしながら大学生活を体験。帰国後、神戸派計画に出会い、紙の魅力と手を使って「書く」という行為の素晴らしさを再確認、シュッとした文具の販売に携わる。

 

国宝社ってどんな会社?

 

――まずは木村さんから自己紹介をお願いします。

木村秀継と申します。生まれは1983年で、東京生まれ東京育ち。製本加工をしている国宝社で役員をしています。もともとはIT企業に入社して、SEを10年間やってました。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

 

――どんな会社だったんですか?

一部上場の会社で、業務系のシステムを作ることがほとんどで。入社理由は福利厚生に運動会があったからなんですよ。中高からずっとサッカーをやってたんで、いいなと思って。インテリじゃなく、泥くさい感じの会社でした。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
どんくさい?

 

――どんくさいじゃない、泥くさい(笑)

そこでプロジェクトリーダーやマネージャーをやって、10年ぐらい経って、さあ30歳を過ぎてどうするか、と。(人生のプランとして)30歳、40歳、50歳で「こうしよう」というのはあったんですけど、やっぱり(国宝社の)長男なんで「まあ、やるか」と。それが3~4年前ですね。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

――いま会社は何代目でいらっしゃるんですか。

僕のいとこが42歳で社長をしているんですけど、5代目です。創業100年。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

――創業100年! 神戸派計画さんは何年目ですか?

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
4代目で、創業71年です。

 

――歴史が長いもの同士ですね。

自分たちの事業を定義すると「伝えるのを支えて」なんですね。そもそも製本加工って、本の著者が読者に伝えたいことを何十万冊と作るのが僕らの仕事なんです。ただ、今度はメーカー業として自分たちが伝える側に立とうと。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
はい。
5年後ぐらいにはまた違う、体験事業をしようと思っているんですけど、まずはこの5年で製本加工業とメーカー事業としっかりやっていこうと。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
体験事業とは?
「人手間」と書いて「人の手間」という言葉を掲げてまして。デジタルはやっぱり便利だし、それはそれで良いのですが、人の心や感情がすべてだと私は思っているんです。それを残していきたいなと。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
それは紙とか製本とかの延長線上で?
そうです。イメージとしては、紙のテーマパーク。子供が来て、うちの会社で一週間学べば何かできますよと。その授業の内容はこれから作らないといけないのですが。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
ええ。
この商品にもつながるのですが、和綴じというのは手作業でやるんですけど、まず子供が「やりたい」って言うんですね。その後、親御さんが手伝って、大人がハマる。うちの会社では和綴じや紙の加工のことを教えられるので、そこを教育ツールなんかに発展できたら楽しいなと思います。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

 

神戸派計画ってどんなブランド?

 

――神戸派計画さんも自己紹介をお願いします。

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
名前に地名がある通り、神戸にある印刷会社が作ったブランドです。印刷自体は世の中からどんどん「要らない物」として無くなっていく方向で、そんな中で「私たちの存在意義って何やろう」と考えたとき、まだ使えてない技術や面白い事とかがいっぱいある。そういうものをプロダクトにすることで面白さを発見してもらう。印刷に興味を持ってもらえる、そんなブランドになれたらいいなと思ってます。

 

 

――色んな技術をお持ちだと?

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
そうですね…
神戸派計画 上司
神戸派計画 上司
そこは俺から喋ろうか。
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
お願いします(笑)

 

(急きょ樋口さんの上司登場)

 

神戸派計画 上司
神戸派計画 上司
横からすいません。もともと70年前から活版印刷をメインでやってきた会社なんですが、その中で例えば「印刷に適する紙」とか「紙屋さんの新商品の情報」を貰ったりとか、この紙だったらこの印刷にした方がいいなあとか、色んなノウハウがたまっていくんですね。

 

 

神戸派計画 上司
神戸派計画 上司
そのノウハウを色んな企業さんに提案をするんですけど、予算取りってなかなか上手くいかないじゃないですか。例年通りのものをちょっとでも安く作って、早く作ってというお客さんが多い中で、新しい提案って通りにくい。
分かります。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 上司
神戸派計画 上司
せっかく新しい知識とノウハウを組み合わせて、新しい価値を生もうとしてるわけですが、モノを作ろうとする人たちの心意気や志って、なんとなく弱くなっていくんですね、気持ちとして。それを避ける為にブランドを作って「自分たちが好きなことをやれる場所」があってもいいんじゃないかな、というのが代表の武部健也の考えなんです。
メインは商業印刷ですか?
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 上司
神戸派計画 上司
そうですね。例えば学校法人のクライアントでは、学校案内やシラバスを改訂しながら毎年作ってます。来年も多分そうなるでしょう、という世界です。企業さんのカタログも改訂はあるものの、基本的には毎年同じものを作っていて、既定路線でずっと同じものを作るところが多いです。
そんな中で、色んなところから色んなオーダーが来て「こんな組み合わせできるんちゃう?」と。神戸派計画さんのモノづくりは、既存の職人さんが結構関わってらっしゃるんですか。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 上司
神戸派計画 上司
そうですね。OEMで受ける仕事やオリジナルの商品にも言えることですけど、これまで培ってきたノウハウがあるので「現場の人間の意見も聞きながら」ですね。印刷の後工程は協力会社に外注することも多いですけど。
ええ。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 上司
神戸派計画 上司
あくまで印刷会社なので。ただ、じゃあ製本はどうしてるかというと、長年一緒に組んでるパートナー企業があるので、そこにお願いしてます。「いやいやその仕様は無理でしょ」みたいに、逆に怒られることもある関係性ができてますね。
うちは書籍の製本がメインですね。本屋さん行けば、うちが製本した本は大体どこかにあります。
国宝社 木村
国宝社 木村

――それはハードカバー? 文庫本?

ハードカバー以外の仮製と言われるもので、月間200万冊程生産してます。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

わざわざ紙を使う意味

 

――両社とも「製本」や「印刷」という本流がある中で、モノづくりに掛ける思いはどういう点にありますか?

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
世の中には色んな人たちがいますけど、大体の人がエンドユーザーじゃないですか。そういう人たちが身近に使う「文具」にアプローチできるというのが、方法としてすごい良くて。
ええ。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
アナログな紙をわざわざこの時代に使う意味ってなんだろうと考えたときに、人に伝える気持ちや自分がそのモノ自体を愛する感覚、そういうものを「必要とされないからやらない」んじゃなくて、発信できたらいいなって思ってます。
やっぱり紙に書いてほしいですよね、デジタルじゃなくてね。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
そうですね。
神戸派計画さんの商品を拝見していると、うちとは全然世界観が違って、デイリーに使える感じですよね。うちのブランドは「和文具」に寄せているので、日常的に何かを書くというよりも「20歳までの成長記録を書きました」とか、そういう感じで「残してもらいたい」って思ってて。だから和紙は相性が良いなと。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
「残してもらいたい」って、すごく分かります。紙に文字を刻んで物質的に残ることでまた違う価値が生まれる気がします。それとはまたちょっと違うんですが、うちでは「GRAPHILO(グラフィーロ)」というオリジナルの紙を作ってるんです。ギリシャ語で「書く事を愛する」って意味なんですね。書いてる感触や、書く行為そのものを楽しむみたいな感じがあって。
書いてみてもいいですか?
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
ぜひ。

 

 

うわっ、なんかやさしい!
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
そうなんです、インクの出方もすごく独特で。万年筆ってすぐに滲んだりして読めなくなりますけど、そういうのがなくて。インク溜まりが綺麗に出て、発色が良いいんです。
いいですねえ。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
書いている「時」を楽しむ、みたいな。
分かるなあ、その「時」自体がここにあるというか。記録は記憶を呼び起こすためのものだから、書いてほしいですよね。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
はい。
私の場合は事業承継するにあたって、ブレちゃいけない「自分たちのコア」は何だろうって、ずっと考えたんですね。そんなとき、代々伝わってきた日記を目にして「この時、こういう思いでやってたんだ」とか「これだけしんどいことがあったんだ」とか、地元の話で「隣のけんちゃんは昔やんちゃ坊主だったのよ」とか「昔あそこは墓地だったのよ」とか。そういうことの積み重ねで、今の会社があるんだと思ったんですね。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
言うには取るに足らない事だけど、自分が記録していたものを、何かのきっかけがあって後で誰かが何気なく見たりして「本当はこうだったんだ」とか「これは聞いた事なかった」とかって、間接的にですけど、結果的にすごく意義深いものになったりするかもしれないですね。
ブログに書いて「後で見て」って言ってもいいんですけど、子供が成人したときに「3歳ぐらいの時にイヤイヤ期が来て」とか「忙しいときも小学校で送り迎えして」とか「あなたを今までこういう風に育ててきたんですよ」って、写真と一緒に渡されたら、まあその後の人生そう反抗しねえだろうな、っていう(笑)。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

FRATイチ押し商品

漫画の『AKIRA』って知ってます?
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
知ってます、めっちゃ好きです!
あれ、表紙が青の巻だったら、三方の小口も青で塗られてるんですよ。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
持ってます!
あれ専用の特殊な機械を持ってるの、うちだけなんです。特許も取得してて。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
そうなんですね!
何万冊って作らなくちゃいけないから、手で塗ってたら話にならないんで。あの技術を利用した商品を作ろうとしてます。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
そうなんですね。楽しみです! 御社の商品をサイトでも見させてもらったんですけど、あの和綴じの糸のところがこうなってる…
国宝社 木村
国宝社 木村

 

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
めっちゃ好きです!
そう!
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
和紙で、糸やし、すごい柔らかい感じやのに白の紙に赤い糸合わせてるのとか、エッジが効いててすごいカッコいいって思って。
あれ、自分でも作れるんですよ。ちなみに「使いたい」と「作りたい」だったら、どっちですか?
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
「作りたい」です。
本当ですか! 最近、和綴じのワークショップを始めたんですよ。糸の色を変えたり、表紙を変えたり、表紙にあて布をしたりして、自分のオリジナルを作って持って帰れます。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
個人的に行きます!

 

――神戸派計画さんのイチ押しは?

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
商品いっぱいあるんですけど、2012年のグッドデザイン賞をもらった「orissi(オリッシィ)」は端がギザギザのチェックリストなんです。買い物に行く前に「にんじん」とか「玉ねぎ」とか書いておいて、カゴに入れたらギザギザのところを折ると買い忘れがなくなります。

 

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
ケータイにもTODOリストやメモのアプリなんていっぱいあるし、わざわざアナログで書く必要ないかなって思ってたんですけど、意外と使ってみるとリストがパッと一目で見えて、カゴに入れたら折るっていうのが分かりやすいし、自分自身びっくりした商品です。
「自分がびっくりした」って、人にオススメしやすいですよね。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
ほんとギザギザが付いてるだけなんですけど、それだけで新しい価値が生まれるのか、っていう。
ええ。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
あと「iiro(イーロ)」ってシリーズなんですけど、ご覧の通りカラフルなノートです。今日はあえて黄色ばっかり持ってきたんですけど、表紙と罫線を同じ色で合わせて印刷してるんですね。罫線の色ってだいたいグレーとか黒っぽいのが多いと思うんですけど、いろんな色のペンを選ぶみたいに表紙と罫線の色のコーディネートを楽しめます。

 

 

色を出すのは御社のド本命のところですよね。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
そうですね。この蛍光を出すのがすごく難しくて、蛍光色は褪色しやすいので重ね刷りしています。

 

 

出た、同じ値段なのにコストかかるやつ!
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
さすがに蛍光のはちょっと値段を上げて500円です。それ以外は360円。
これが300円台なんですか? はあ~、やさしいな。
国宝社 木村
国宝社 木村

 

――全部で100色あるんでしたっけ?

 

神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
色は50色です。ドットとストライプで、中身は一緒なんですけど表紙が2種類。それで100SKUあります。
100! 在庫の管理が大変そうですよね。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
方眼のサイズが選べる「recto(レクト)」っていう商品もあります。
これが噂の神戸派1ミリ刻み的なやつですね。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
ちょっとマニアック過ぎて(笑)

 

 

どれが一番売れますか? 5mm?
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
5mmもそうですけど、3mm、4mmあたりも結構。
小さめの方が人気なんですね。なるほどね、やっぱり(数ある中から)選べるのが楽しいんだろうな。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
これ、私が個人的に使ってるやつです。3mmなんですけど、こうやって開くんです。

 

 

開きが良いですね!
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
糸かがり製品で、背の部分が抜いてあって。一回使い始めると開きの良さが「これじゃないとイヤ」ってなってしまって。これが私の一番オススメの商品です。

 

FRATに臨むスタンス

FRATにはどういうスタンスで臨まれますか?
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
FRAT自体が「新しい事を挑戦してみよう」みたいなところがあって面白いなと思うんですけど、文具を道具じゃなくて「楽しむためのもの」みたいにとらえてもらえるような提案ができるような場所になれたらいいなと思ってまして。
ええ。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
例えばですけど、「iiro」だったら「ファッションとして楽しい」とか「カラーコーディネートを楽しめます」とか「自分のパーソナルカラーに合わせて色を選べますとか、今までになかったようなモノの選び方を提案できたらなあって。
私の中でFRATは「交流会」のイメージなんですよ。だからとりあえず和綴じについては「木村さんに聞けばいいっしょ」みたいになるような交流ができればいいと思ってて。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
ああ。
とりあえず「和」とか「手作業」とか「製本」で何かあったら「国宝社さんに頼めば何か出てくるだろう」って思われる立ち位置。小売店さんからも「日本の企画」とか「海外旅行向け」の何かってなったらぜひご相談ください、そんなスタンスになればいいかな。って言いながら、当日めっちゃ売ってたら笑ってくださいね。
国宝社 木村
国宝社 木村
神戸派計画 樋口
神戸派計画 樋口
あはは。

 

 

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【クロストーク】ナガサワ文具センター x エモジ

創業1882年の老舗文具店であり、「KobeINK物語」などのオリジナルヒット商品を生み出すナガサワ文具センターの裏川さんと、空掘商店街に世界中からファンが集まるコアな紙雑貨店を開いているエモジの早馬さん。共に関西でイベントで一緒することも多い2社が、今回はFRATでビジネス向け展示会に挑戦します。二人の出会いからこれからのビジネスに対する思いまで、小売店という立場、メーカーという立場で熱く語り合っていただきました。(聞き手〜ロンド工房、荒川)

裏川さんの自己紹介
早馬さんの自己紹介

二人の出会いについて

僕ね実はね、多分お会いする前にお店たまたま見てたんですよ。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–いきなり出会いの話を始めましたね
出会いというか、僕あの辺結構ぶらぶらしてるんですよ、休みの日に。面白い町なんでね。行ってて、何これって思ってたんです、実は。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

エモジ 早馬
エモジ 早馬
オープンしてすぐぐらいですかね。2019年5月3日で6年です。
6年前ですか。それぐらいだと思います。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
一番最初、御社何で知り合ったんでしたっけ?
何でだろう?
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
何があってんやろ?分かります?

–2人の出会い。文具BARじゃないですか?

ほんまやわ。そこですわ。僕、あのとき店舗勤務やって、文具BAR手伝いやったんですよ。今みたいな開発系の仕事じゃなくて、ほんまに店舗の人間やって。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
それぐらいの時期の出会いですね。
僕、空掘でエモジさんを見つけたの、洋食屋あるじゃないですか。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
ソノダですか。
多分、それ目的ちゃうかなと思って。行って、何これって。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
ソノダさんは結構ね、最近なんですよ。ここ3年ぐらいなんですよ。
ほんまですか?あれー何やろ。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
色んなお店、あそこね、ありますもんね。
カレー屋とか。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
ヤム亭さんは、うちの1年半前なんですよ。
なんせ、俺よう行ってたんですよ。エモジさんのこともいい意味で「何これ!」って思ってて。パッて見させて頂いたときに、何か知ってるこれ!って思ったんです。何か見たことある。大阪で見たことあるってうちの社員にも言うたんです。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–そんな2人の対談でございます。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
まさか自分で仕事始めるときに文具の業界に自分が混ざるやなんて夢にも思わんかったですからね。

早馬さんの自己紹介

–そんな早馬さん、自己紹介をしてもらっていいですか。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
早馬です。5月の3日で空堀商店街にあるエモジというお店が6周年を迎えることができました。紙の卸と色々とOEMで作らさせてもらったりとか、紙に関わること全般で仕事をずっとさせてもらってます。

–自社の商品でイチオシのものはありますか?お店やったらオリジナルノートの話などでもいいですよ。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
オリジナルノート作りは好評いただいています。お店はおかげさまで地方とか海外のお客様がだいぶ増えました。特にアジア圏ですね。なんとかかんとか無理めに英語を喋りながら作ってもらってますね。

–6年前の開店当時からやってるんですか?日本でも早い方ですよね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうですね。ちょうどあのとき無印の梅田のところ。ノートのチョイスをやつをやったかな。
グランフロントですか?ありましたね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
そこでされていたのは記憶にありますけども。
ほんまや。懐かしいですね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
京都のハンズさんとかでも。お土産物屋さんの包装紙を表紙にして、ハンズさんでやってらっしゃたりとかして、それぐらいの時期やったような。

–そういうオリジナルノート作りが好評なんですね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうですね。最初はね、開店して1年、2年は、ぼうずの日が多かったんですけど。何してるんだろ、これみたいなね。

–フラットにかける思いを教えてください。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
当然売上げも上げていきたいんですけども、ちょっと挑戦です。僕、文具っていう切り口が分かってないんで。紙物と雑

貨と文具の間をいくみたいな。どこまで認知して店頭に置いてもらえるのかっていうのが、どこまで今、自分の思っているのが通用するのかみたいなね。

僕も色々お伺いしていいですか。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–今はまだダメです(笑)。自己紹介パートが終わった後にゆっくり語り合ってください。 次、裏川さん、自己紹介お願いします。会社の事業の紹介から。

裏川さんの自己紹介

株式会社ナガサワ文具センター市場開発部を担当しております、裏川です。よろしくお願いします。今46歳なんで、あと3年ぐらいしたら勤続30年になりそうです。ずっとこういう仕事ではなくて、僕出たり入ったりが多いので結構色んな部署に行ってて。外商もありますし、総務とかはないんですけど、色んな営業の部門と企画に行ったり仕入部署に行ったり、結構3年ぐらいで色々あっち行ったりこっち行ったりします。器用貧乏みたいなところが十分あります。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–ナガサワブランドの紹介もお願いできますか?

今回のフラットにおいては、神戸インク物語っていうオリジナルインクをメインにやっていきたいと考えております。早馬さんと全く一緒なんですけど、やっぱり挑戦ていう部分ですね。うちでいうと初めての卸向け展示会への挑戦で。今も少し海外、国内でもやっては頂いているんですけど、スタンスとしてやりたいと仰って頂いてから進めていってるんですけども。今回は沢山見て頂けるように、初めてお客様をステージに招いてということで、私もどのようになるかなと思っています。
やっぱり小売りから生まれた商品なんで、自分のお店で売るための部分で一番初めにスタートしてしまってるというのがあって、もちろん値段の部分もそうなんですけど、そこを自分なりに考えて、早くメーカーになりたいって思ってて。
やっぱり私たちは小売りなんですよ、ずっとスタンスや値段の考え方が。そうじゃないって部分を勉強して、事業というか。荒川さんにはちょこっとお話ししていたのですが、会社を作りたいなという風には思ってて。中から飛び出すとかそういうんじゃなくて、今の中のところからちょっと飛び出してやっていきたいっていう1つのきっかけになればと思っております。真面目やな俺?
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–これ書かない方がいいですよね。書いてもいいんですか?

いいですよ。書いてもうたらプレッシャーかかるんで書いちゃってください。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–分かりました。了解です。

お互いの印象

–相手の会社の印象を教えてください。。まず、裏川さんから。さっきの話の続きになっちゃうと思うんですけど。

ほんまに思ったんは、ノートをバイキングとかオートクチュールとか、さっき教えて頂いた無印さんへの展開とか、こんなこと何で思いついたんやろっていうのが一番初めの部分です。
初めはめくる感じであって、表紙を選べてできるこの楽しさは、文具BARで初めて拝見して、絶対くるって思ってました。今後、この波 くるわって思ってましたね。
やっぱりカスタマイズする部分て凄く感じてたところがあって。チョイス式、筆記具のコレトとかお客様が好きな物を選んで自分らしくカスタマイズできるっていうのが面白いっていうのは凄く思いました。
お客様の反応を見たときに、暗いBARの中やったんですけど、僕の中では確信に変わりましたね。一番初めの準備というか、表紙どれにしようかなっていう時間のかかり方がむっちゃ面白くてですね。すっと選んでしまうんじゃなくて、迷いがある中で最終的に自分が選んだっていうのが自分らしい物に作れていけるっていうのが、凄く面白いの一言でした。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
文具BARのときあんなに出るとは思ってなかったんで。
めっちゃ忙しそうでしたよね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうなんですよ。ゆっくり並べて飲んどこうと思ってた。
早馬さん一番忙しそうでした。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川


–あれ何年前ですかね。3年は経ってますよね。

僕、今の部署で3年経つんで、当時は現場でまだ。4、5年は経ちますね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–それぐらいなりますかね。ケイキュービックできたての年ですね。

階段上がってのお店でしたよね。狭くてリングが回らへんかって助けなあかんかなって思ったけど、スペース的に1人しか置かれへんかって。凄い大変そうなイメージで、ほとんどあのとき喋れなかった。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうですよね。僕もあんまり。隣にいらっしゃったのにね。あと、社長いらっしゃったんですよね。
いてはりました。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–山本紙業の山本さんに誘われたんですよね。早馬さん。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうです。とにかく、あそこの前、テーブル間挟んで向こうに出るときいうたら、トイレから飲み物。
ソファーが全然動けへんから。もう身動きとれんなってなった。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–そんな店でしたね。思い出した。2階で売ってはって、3階でトークやってたんですね。

そのカメラを見ながら、うちの竹内が見ながらなんですけど、忙しいからほとんど記憶になくって。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–懐かしいですね。楽しかったですね、あのとき。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
楽しかったです。

–ちょっともう出来ない熱量ですね。

色んなパターンであれの拡大版みたいなところってなんか通じません?夜やること自身が僕等の中にはちょっと社内の中も正直あったんですよ。会議の中で「酒出すん?」みたいなところはちょっと社内でも言うてて。お客さんに酔うてもうてって。そこまでグデングデンになるやつおらへんやろうって感じで。初めてのところやったんで凄く新鮮に覚えてるというか。こういうところでもできるんやみたいなところが凄く印象がありましたね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–そこでエモジさんと繋がられて、ナガサワさんのお店でもオリジナルノート作りをやるようになったっていう。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
一番最初にやったんて梅田のジュンク堂ですかね?茶屋町の2階のところで。
波止場の紙物市って行ってませんでした?デルタさんのとき。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
デルタさんのとき、一度お伺いさせてもらいました。
それが後なのか先なのか。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうですよね。おかげさまで色々呼んで頂いてるんで、いつの話やったんか。

–でもあの体験でいうと、女の子がウワーってなる感じでね。こんな言うたらあれですけど、おじさんが作ってるっていうね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
あれでも元々一番最初の案というか原案もらったのはデルタさんのマネージャーの福井さんなんですよ。スクエアのメモってあんまりないからスクエア作りはったらどうですかみたいな話から、作って置いてたんですけど。段々、阪急百貨店のイベントとかにも出るようになって、売り場の場所任されたら今度売れるもんがないいうて、ほなお客さんに作ってもらおうか、からですね。

–デルタさんも山本さんの紹介でした?

エモジ 早馬
エモジ 早馬
いや、福井さんのお友達がエモジと家が近くて遊びにきてくれてたところからですね、そこからマネージャーと繋がってデルタさんとお付き合いが始まったんかな。

–小売り云々とかっていうところとあんまり山本さんは関係なかったんですね。最初の開拓のとこは。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうです。山本さんとかその辺は阪神百貨店に出たときに、まだ前の売り場のときにね。

–呼びました。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
この売り場をこんだけあるからエモジさんなんとかして下さいって言われるけど全然周りに友達いてへんかって、唯一おったんが山本さんやったんで山本さんに誰かおらん言うてお願いしたのが荒川さんとか阿部さんとかやったんで。

–それでケイキュービックって名前が出来たんですもんね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
どんどん文具のね、とこに入って行くなんて思ってなかったんで。
だから梅田とかあの辺のイベントでナガサワさんとかと知り合って、こんな大きい文具店があるんや思って。まさか自分がその会社に入っていくやなんて思いもよらへんかったんで。

–第一印象とかはそんな感じでしたか。早馬さんからナガサワさんについては。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうですね。入っていいのかなって。紙ていうので僕は知って頂いてて、それと文具ってあんまり接点ないんですよね。

–エモジの創業前は紙問屋さん。二次卸さんですよね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
依頼を受けて、例えば印刷屋さんがノート作ります、何々作りますっていう依頼を受けたので紙を渡すみたいなやつなので。
だから手配した紙が入ってる小売店さんって案外多いんですよね。だからそんなん行くことなかったですし大丈夫かなみたいな。入らしてもらってもみたいな。
そもそもで言うと、何でお店しようと思ったんですか?
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
お店したかったんですね。紙のお店色々あるじゃないですか。それなりに成り立っていくところがあるっていうことは何か出来るのかなみたいなのと、前の会社で色々あったんでちょっと挑戦してみようかなって始めたんですね、最初。
だから正直お店は開けれるときに開けたらええかみたいなね、軽い考え。事務所代わり、1人でやるからマンション1室でするっていうよ りももう少ししっかりした方が信用もあるのかなと思ってやり始めたんがお店やったんで。
だから今こんな感じで、メーカーとしてFRATに出展するまで行く展開を全く考えてなかったんで、毎日戸惑いですよね。
お店があるからみなさんとお知り合いになれたりとか、そういう話がきたりとかっていうのがあるので、思ってもみなかった効果がありますけど。
それまでそういう小売り経験ってなかったんですよね?
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
全然ないです。
早馬さん、そこでの接客業の部分て、そこがスタートじゃないですか。めっちゃ戸惑いません?
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
特に最近は個人情報とか何とかで、扱い分からへんよねって。聞いていいのか、この人の電話番号とかはありますよね。
釣り銭も用意せなとか、店ならではの細かいことっていうのが。メーカーさんてやっぱり、お店やってみたらなってみるとほんとめちゃめちゃ苦労するんですよ。
基本的にずっと開けとかないといけないっていうのもあって。それができるのは凄いですね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

エモジ 早馬
エモジ 早馬
私は多分分からへんかったからですね。知らんかった、開けてりゃええわぐらい。こんなにしんどいの知らんかった。ナガサワさんとかって季節で商品変えたりとかあるじゃないですか。
たまに、何か知らんけど、売り場の場所変えると売れるときってあるんですよ。
あります。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
不思議なんですよ。来てるのはほとんど一見さんのわりにずっと一緒の場所に置いてても売れないんですよ。ちょっとでも場所変えると初めてのお客さんでも普通に買いはるんですよね。不思議ですよね。
不思議です。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
1個だけでもポっと置いてたら、そっちなくなってるときもあるし。置いてる場所とか変えてったりとか、ポップ作らなあかんかったりとか。うちの商品点数って少ないからええけども。
ポップ書けるっていったら、もう無限にあるじゃないですか。どこまでがもう。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうなんですよね。そういうのは思ってなかったんでね。ずっと買い物行く人やったんで、パッと見たらこれ買おうとかってね。お店側がそんなに苦労してるって知らんかったんで、大きくなれば大きくなるほど、このちょっとの場所をこっちに移動するだけっていうのもね。

–エモジ開店当初の、最初の仕入れってどうしたんですか?今はほら、他のメーカーの物も仕入れて置いたりしてるじゃないですか。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
それは結構、現金問屋行ったりとか。例えば、icco nicoの坂本さんお会いしたから、売って下さいって言ってもらったりとか。あとね、岐阜のモルザっていう会社があって、そこにムラカミ工房っていう紙雑貨があったんですよ。

軽く聞いたことあります。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
そこが古川紙工さんとか一緒に扱ってくれたんで。

–紙問屋さんでもあったんですか。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
そこは紙メーカーです。製紙メーカーです。製紙メーカーさんがやってるそういうやつやったんで。ただ、古川さんは古川さんで一応前の会社でお付き合いもあったんでダイレクトにも言えたんかもしれんけども、そのときは古川さんそんなんやってるって知らんかったんですよね。

–古川紙工は紙屋やと思ってた。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
紙のそういう和雑貨作ってる、ああいうのを作ってるっていうのは知らんかったです。カタログ送ってもらったら、こんなんあるから。じゃあ一緒に頼みますって言うて、その仕入れ先と古川さんとモルザさんの工房の物をモルザさんから頂いてっていう感じが最初ですね。今でもそうですけども、あんまり仕入れ問屋さんうちに来てくれたことないんで。結局、ダイレクトにやらさしてもらうっていうことは結構そこの商品をなんぼ以上買わなとかなってくるとなかなか。

ワークショップについて

うちで言うと、一番初めの波止場の紙物市っていうテーマを社員が持ち出して、あの辺りぐらいからですかね。こういう皆さんとこんな感覚でワークショップとか対面販売がやらないといけなくなってきたねって思ったタイミングですね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–その辺ぐらいまでは、そういうイベントって無かったんですね。文具のレトロ風な。

昭和の文具展とかはやってたんですけど、やっぱり文具メーカーさんに来て頂いてて、大手さんで、もちろんライフさんやマルマンさんも入って頂いてたんですけど、型押しとまでは言わないんですけど、そこで生み出す物の価値っていうのがあるぐらいのタイミングから変わってきたのかなって社内でよく言ってました。
今やったら、サラッとワークショップって言ってるんですけど、当時ワークショップっていう言葉も全然知らなくて。あんまり使ってなかったですよね。そういうのがあって神戸新聞社とあるイベントをするときがあったんですよ。
そのときにワークショップをやろうと。ワークショップって何ですかみたいな。物作りで、ここでちょっと物作ってもらうような感じのコンテンツなんですみたいなんで、こんなんかってなって。社内で言うてたんは今後こっちやなっていうのは出てきたかなと思います ね。ほんまに売れるん?て初めはずっと思ってました。
凄い言ったら失礼なんですけど、山本さんとこの商品でもパックに入った紙の色んなサイズの物がこんなに売れるん?て思ってました ね、うちの会社では。
別メーカーさんで一度やってたんですよ。年末とかに切れ端のああいう紙の物を昔からやってたんですけど、段々そういうの出なくなってきて、こんなん集めたら売れるんかなって思ってて。あんだけ来て頂いて、一日中女性の方が。
ナガサワ文具センターでなにかをやっていきたい、紙と筆記具との関係性を伝えたいと考えている中であのタイミング、目から鱗でしたね。こんな力があるんやっていう。絶対そこやなとは思いましたね。
うちでは尋常じゃない単価が出たんですよ。文具っていつでも買えるんで新製品といえどもそこまで単価上がらないんですけど、ああいう催事を組んだときに恐ろしい売り上げが出るんですね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–それがイベント、体験。

そうなんですよ。臨場感みたいなもんて凄く大事。会場の中で物が買えるっていうのが。日々のところで置いてても反応はしないけど、やっぱり作り手の方からお話しを聞きたい。その場で自分で選んだ物を買いたいっていうのは凄いこれからも潤うんじゃないですか。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–それこそナガサワさんやったら、神戸インク物語の開発者である、竹内さんが「今日はこの店にいます」とかってSNSで言って ますもんね。それめがけてお客様が来ますもんね。

小売店とメーカーの狭間での葛藤

弊社内での話ですが、市場開発と商品開発の違いって何ですかみたいなところもあるんですけど。
私がいる市場開発という部署は、ナガサワオリジナルの物作りに対しても取り組むんですが、「モノ作りコト作りミチ作りヒト作り」って社内には書いてるんです。頂いた用語にはなるんですけど、「作る人と売る人と配る人」みたいなところで、作る人=メーカーにならないといけない。やっぱり小売店では出来ないことがメーカーさんやったらできるっていうのがあって。そこの発想を変えないとあかんよねっていうのはずっと思うんですね。原価にしててもそうです。
この先、今のままやったら進めへんよって。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–小売店やから出来る原価率ってありますよね。

そうなんですよ。そこなの。ロスも含めて今後自分等がやりたいこと、例えばイベントで海外行って販売とかの機会が出てきたときに、この率以下じゃないと動けない、とか。それでも、オリジナルはうちの中で見れば低い方なんですけど。すいません、こんな数字の話ばっかりで。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–全然いいですよ。

でもほんまそこなんですよ。その分、ようは単純にこれ高う売ろうじゃないんだって僕も思うし、
高く売るのはそんなん全然違うけど、そこに価値が生まれるんであればそれなりの値段ができるんちがうのっていうのがあって。神戸タータンとかちょっと違うところもチャレンジをしていきよるんですけどね。付加価値といえばキャラクターっていうところがあるんですけど、うちはそっちじゃないので。神戸のモチーフを入れたりしてやりよるんですけど。そういう神戸から出た物を広げていくようにっていう。やっぱり神戸ってブランディング出来てるとは思うんですね。街全体が。神戸をもう1回活性化させるっていうのは凄く思うと ころで。ちょっとうちの中での違う物作りを僕自身は凄くやってみたいなと思ってます。
文具は作れて当たり前。ちょっと違う物をって、これ良く見たらナガサワやんていうのを目指したくて。僕、改めて最近伊東屋さん凄いなって思うのそこなんですよ。これ何?よく見たら伊東屋さんなんやって。これデザインカッコいい、カラーリングいい、機能もいいってなったときに、気づいたら伊東屋なんやっていうのが、一番いいことな事だなって。
僕もやっぱりそこ目指したいんですよね、物作りで。でも自社で工場持ってないんで、やっぱりお願いして物を作って頂かないといけないんですけど、その中でもアイデアだったり、企画であったり、無理をしながらもちょっとコストを抑えて作って頂いてっていうのがどれだけになるのかなっていうのが僕が今やりたいことですね。じゃないと変われへんと思うんですよ。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–工場っていう話でいうんであれば、早馬さんところは、オリジナルノートであれば手作業から始まって、さらに色んな物作りだしてるじゃないですか。
最初イベントから始めて、自社企画商品をどんどん増やしていこうとする段階。そうしようと思ったきっかけっていうのはありますか?

エモジ 早馬
エモジ 早馬
さっきのイベントの話じゃないんですけど、こういう世界もあるんだみたいなのは凄く行ってて思って。イベントによっては、裏川さんが仰るようにビックリするような数字が上がったりするので、僕も商品開発の中で1つ伸ばせれる分野かなって思った辺 りで、やれるとこから始めようみたいなんで、手作業で始めようってやりだしたんが最初ですかね。
だから、前の会社でやってたことはほとんどないです。今になっての試行錯誤でやってることが多いですけども。失敗したなって思うのは自分しかできへんことも多いんで結局自分で自分の首絞めるみたいなところですね。注文もらったら自分が首絞めたみたいな。

–紙の糸みたいなやつとか。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
紙の糸はね、おかんなんですよ。糸を巻いてんのは当然メーカーで巻いてもらってるんですけど、小巻に変えてんのはうちのはおかんが、こうやって手をグルグル回しながら。ボビンみたいなやつをバラバラで購入してきたやつをおかんに「悪いけど、上と下とくっつけてくれっ」て言ってくっつけてもらって、おかんにクルクル巻いてもらってるっていう。
何とかお年玉捻出するからって。表紙貼りもそうなんですけどね。たまに受けてくれるところもあるんですけどね。やっぱり糊使ったりなんなりがあるんで、うちでは無理って断られたりとか、やってくれるってところでも小ロットで多品種は作れない。大ロットでって。小さい8cmのメモのやつはこんな小さいのないでって言われたりしてたんで、自分とこでせなっていうのが。
手でやられてるんですか、あれ。僕、知らんかった。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
表紙は全部布張りのやつとかは、僕が貼ってるんですよ。

–早馬さんが貼ってるんですか!マジですか。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
卸のところにあるからあれですけどね、1年で2000冊ぐらい。「4000枚も貼ってんの?俺」みたいなんで、そら他のことする時間ないわって。
でも今度それ専用で人をなってくると、しんどかったりするんですけどね。なかなかいらっしゃらないし、都合よくこっちからお願いして来てくれる人。恒常的にお願いするともっとロットが必要になってくるんで。だから今のスタイルになっちゃってるんですよね。

–FRATきっかけで卸売で企画がうまくいったら、ロットを作ってとかは考えてますか?

エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうですね。考えてます。そのサイクルの方にしていければ恒常的に作ってある程度まとまったやつを卸と自分とこのお店とで売って回転を速めていければ、もっと他の物も出来たりとかいうのもできるのかなとも思ってるんですけどね。
今は自分がやった分で自分の手の範囲しかできないんで。

–物の作り方みたいなところから、ちょっとメーカーになっていきたいっていうことですかね。

フラットに出るメーカーってわりと小っちゃいメーカーが多いっていうのもあって、量産で失敗して大量に在庫抱えて泣きそうになるっていう経験、みんなやっぱりしてるんですよね。よっぽどどっかの母体があってっていう感じじゃない限りは。なんにしてもそういう話って聞くし、在庫って重いじゃないですか。やっぱりバランスって凄い大事だなって思って。
自分等で手を動かしてちょっとやって売るみたいな感じの物も持っておくとバランスが凄くよくなるっていうのは、この間の暮らし市で色々話聞いてても思いましたね。やっぱり手で作れる物作ろうよって言って。イベントだけで売るような物。それが重宝される時代になってくるような気もするんですよね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
自分で当然作ってるところもあるんですけど、たまにね外に出したりするときもあるんですよ。ある程度のところまで外で作ってもらって、あと中でちょちょっとやって商品外装して売るっていうね、やったときもあったんですけど、それするとね途端に売れなくなったんですよ。
山本さんところの紙の詰め合わせセットあるでしょ。あれも社員さんがみんな1個ずつ手作りなんですよ。多分あれやから売れてると思 うんですよ。うちはそれをある程度のところまで作業所でやってもらったんです。あとの色付けをちょちょちょってやって出したら全然売れなくなったんですよね。
それまではうちのスタッフが1個ずつこうやってこうやって、半分倒れそうになりながらやってくれてたのは飛ぶようにブワーってなく なって。ほんなら一杯作ったらええやんて思って、そういう方法でやったら一杯ベースができるから、ちょちょちょってやったらすぐできるやないですか。それをバーって作ったら全然売れへんようになって。

–ええー!何かが違うのでしょうね。いっぱいあるように見えるから?

エモジ 早馬
エモジ 早馬
ああいうの買うときお客さんて正面じゃなくて横見はるんですよね。中何入ってんねんみたいな。これとこっち一緒やんて思って買わへんのか、何か違ってるのか分かんないですけど。
探した感がないんかな。量産品に見えてまう。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
量産品に見えるんでしょう。葉っぱと羽の形のメモ帳あるんですね。一番最初、高校で出させてもらったんです。僕が思いついたそれを入れる皿があるんですね。
皿を最初、紙を何枚も張り子みたいに貼重ねて貼重ねて作って9個。3日徹夜して9個しか出来へんで。持って行こうと思って持って行ったら、40分で9個がなくなったんですね。
その後に何かいい方法ないかなってやるんですけど、結局今は紙粘土でぐにゃぐにゃ作るっていうのにちょっと落ち着いたんですけども、それも皿1個作るのにもの凄い時間かかるんですけども、やっぱりそれは売れる。
紙なんてほんとに1cm入ってるか入ってないかぐらいの分しかないけども、それで一応1000円で売ってるんですけども。やっぱり魂入ってたら売れんのかなみたいな。
そんな商品でも手をかけたやつはやっぱり売れるんですよね。値段が多少高くっても量産品じゃないっていうお客さんが。そういう思いとか入れれるのがね、結構メーカーさんの方がこういう物を作っていけるのかなって思いますけどね。人を使うから思いと人件費が比例していくからその時点で。

イベント売り場と定番売り場

–イベントの売り場と定番の売り場って全然違うじゃないですか。
FRATって当然ビジネスとビジネスで、イベントしてもそうですけど、やっぱり物が沢山できて定番の売り場に入ってっていうのが一番 理想は理想じゃないですか。ビジネスの規模が大きくなっていくから。
お店持ってる側として、その辺のバランスとか今後どうなっていくとかって何かイメージあったりしますか?

さっき申し上げさせて頂いた臨場感ていうところと、そういう紙物のイベントで集まったところのお客様と出展者の方の感覚をどうにかお店に繋げていかないといけないとは以前は思っとったんですけど、これはもう無理やなって正直思うところもあるんですよ。
なので、さっき早馬さんが言われたイベント限定の部分とかお願いする身となってみては、やっぱり売上げを上げて頂いてその分集客をかけさせて頂いて、何とか少しは残るようにっていう努力をしたいなって思うんですけど。
そういう中で思うのが、早馬さんとこで言うと、うちのAさんていうお客様が、早馬さん多分お顔見られたら分かると思うんですけど、エモジさんのこと昔から大好きなんですよ。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
この前、本店で一緒やったん違うかな。オイルなんとかみたいな。
そうです。最近先生になりはったんですよ。元うちの〇〇士さんなんですけど、最近こっち側に入ってきてしもたんですよね。仕入れ先ですって言うとるんですけど。やっぱね楽しいって言うんですよ。お客さん側から見てて、やっぱ楽しそうみんな が。Aさん曰く「ナガサワさんもそう、来て頂いてるメーカーさんもそうやし、凄く一体感があるねん」て言うて。その話を聞いてると きに、これもう店でやっても厳しいかなって思って。棚に積んでもっていうのが思うところもあって。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–Aさんは、早くの段階からずっとエモジさんの追っかけやったんですよね?
エモジ 早馬
エモジ 早馬
百貨店とかのイベントには絶対に。
絶対行くんですよ。知っとったら先言うてな言うて。あのときすごく忙しかったはずなのに。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
ですよね。神戸行って、こっち帰ってきてとかってずっと言ってはったんでね。

–ファンなんですね。

大ファンなんですよ。イベントに行っても遅かったからええもんなかってん言うて、ほんまにー言うて、人一杯で買うとこないわって言うてはったりしたんですけど、凄く早い段階からでしたね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
いつも小っちゃいやつは10個ぐらいね。
バーって人にあげたりするんですよ。ほんだら、今度物作りに目覚めてしまうっていうね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
だから僕ビックリしました。○○士って聞いてたのにビンの中にオイル詰めるやつあるじゃないですか。ハーバリウム。あれの講師かなんか。
そうです。とりはったんですよ。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
講師なんです言うから、一緒に別の方いらっしゃって、この人が。まさか本人が講師なってるとは思ってなかったんで。

店主、代表、開発者のキャラ立ちについて

早馬さん、1個お伺いしていいですか?どちらかというと、催事のときに、人、キャラクターが出るような方が多いと思うんですよ。例えば、ぷんぷく堂さんであったり、キャラクター化していくみたいな。櫻井さんがおるから会いたいっていう部分。早馬さんそこあんまり打ち出さないじゃないですか。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
違うんですよ。やりたいんですよ。
それ聞きたい。俺、ちょっとそこ疑問に思うとこやったんですよ。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
誰々さんがいてるから来たとか。飲み屋でもあるじゃないですか。すぐ喋れるから面白いねとか、そういうの目指したいんですけども、逆にどうやったらあんなにキャラが立つんかなって。

–やりたいんですね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
やりたいんですけど、あんなにキャラ立たへんしなって。
そうなんですか!ちょっと僕ええように考えすぎてたかも。あえて引いてはるんかなって。人ではなく「エモジ」っていうものを出してはるんかなっていうのはあったんですよ。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
どないしていいのか分からんだけです。あと、こんな言い方したらあれですけどね、女のお客さん多いんですよ。女のお客さん相手に変なこと言うたらセクハラとかになったりするじゃないですか。こっちは軽い冗談のつもりでもね。そう思うと喋りにく い。ちょっと引いて、さっきのAさんみたいに関係性ができてくると別にガーっと言えるんですけど、最初のとっかかりのお客さんてどう接していいか分かんないんで、普通の店員みたいに「いらっしゃいませ」ってなりますよね。
ほんまはキャラ立ちしてる店主になりたいなっていうのはあります。どうやったらなれんのかなって。

–個人のキャラですよね、こればっかりはね。
エモジ 早馬
エモジ 早馬
そうですよね。
ちょっと職人的なものの表現をしてはるんかなと思ってたんですよ。逆の方向でちょっと後ろにいて、背中向けてて「お待たせしました」みたいなんをあえて表現してるのかなって。あんまり、楽しい感じをあえて抑えてはるんかなって思ってたんですよ。 こうやって普段喋ったらめっちゃ冗談言うたりされるじゃないですか。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
だからどう接していいか分からへんていう。萎縮してるだけで。なんかどう突っ込んでいいかわからなくて。結構ね慣れてくると言うこときつなったりするんで、物腰はあれですけど言葉がね。言葉のチョイスがきつなったりするから。たまにきついきつい言われるから気にして喋るからね。一旦、頭の中グルーって回って喋ってるからね、余計他人行儀みたいになってるかなっていうのもありますしね。適当にバーって言いたいんですけどね。

–キャラ立ちさせなあかんのかなっていうのは、ナガサワさんの竹内さんの聞いてても思うとこなんですよね。ナガサワブランドでいうと竹内さんのキャラは凄い立ってますもんね。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
立っちゃえば楽な部分もあるし、でも立たしちゃうともう方向転換できへんというか。

–そうなんですよ。エモジはだから、今から何でもできそうですよね。この感じやったら。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
女性相手って気遣いますね。

–紙ってそんな女性に売れるって思ってました、最初。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
当然売り場に紙物多いんで売れるんやろなと思ってたんですけども、こんなに女性が多いとは思わなかったんですよね。おっちゃんでも便箋も買えば封筒も買うやろみたいなんやったけども、10年、20年前にネットが出てきて色々なってからのブームとか そういう紙物に対する関わり方がね、みんな段々変わっていって。
特に紙物に対しては趣味の部分がだいぶ強くなってきてると思うんですよね。だから女性の人が多いような気がするんですよね。
もうちょっと普通のサラリーマンの兄ちゃんもノートやなんか持ってたんですけども、今は持たないじゃないですか。スマホがあるからって。
でも書く人はノート何冊も持ってたりとか、同じような付箋でも使い分けたりとかってそういうのもありますけども。こんなに女の人に売れると思わんかったんで。
売れるのは売れるのであろうとは思ってたけど、紙業界自体はどんどん売れる量は減って。まだ人間1人増える分ぐらいは何とかなるん ちゃうかみたいなんは思ったんですけどね。

–今日この収録のタイミングで日経トレンディでナガサワさんが凄い大々的に取り上げられてるというのもあって、それがさっき流れてたところだったんですよ。神戸インクがこれぐらい売れてますよとか、若い女性開拓しましたって凄い言ってて。
神戸インク前と後で、そのナガサワの商品とか客層とかって変わったりとかあります。

変わりましたよ、ほんまに。インクを起点にして万年筆であったりガラスペンに入っていくっていうタイミングになったと思いますし。
かさねて、うちがご提案できる催事とかお店の中の提案に対しても僕はずっと思ってるのは、ファンになってほしい。ファン化って社内用語で言うんですけど、ナガサワさんいっつも面白そうなこと考えてんなみたいな、お客さんからそう思ってもらえるような期待をずっと持ってもらうっていうのもあって。そごサワとかのネーミングもそうですし、お客さんからこんなネーミングでよう通るなって、ちょっとふざけた感じのあるっていう。どっちかっていうと元々ナガサワって堅いイメージがあって。高級品も取り扱ってて、ちょっと小上がり上がった感じがするんですけど。
やっぱり変えていかないとって現場で思うところもあったんかなっていうのはありまして。
色って凄く反応するっていう。お客さんの言葉で思うと癒されるっていう表現になりますね。
でもインクはほんまに使うの大変ですよね。万年筆は色んなインクを入れてるんですけど、ボールペンで書いてる文字と万年筆でシャーっと書く。あとで読み返すとやっぱり違うんですね。
意識をせずにちゃんと集中して書けて、話を聞きながら書けるっていうところもあったりするんで。一時期のブームと比べると多分4、5年前がトップやったと思うんですけど、それから比べると半分にはなってるんですけど、うちとしても代名詞となった神戸インク っていうものを今後どういう風に広げていけるかっていうのは凄く思うところですね。
ちょっと違うことにチャレンジしたい。書くっていうこともそうですし、色を使ったものっていうのもチャレンジしていきたいなっていうのはちょっと思ってますね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–神戸インク物語は10周年になるんですか。

そうです。今、11年目ですね。竹内がよく言うように発売当初はそんなに販売できてませんでした。。万年筆インクは黒と青があればええんちゃうみたいな。初めはほんまに苦戦しましたね。ナンバリングでいうたら、20番台ぐらいまでは苦戦しました。それでも一生懸命に作ってましたね。水道筋マルシェブルーを代表とする
30番台になったときからビューって上がってるんですよね。ピークはほんまにすごかった。各店舗のストッカーが満タンに入ってて外国の 方がバックパック2個持ってて、これに入れるだけ売って下さいっていう、そんな時代でした。うちも免税とかやってなかったんで、デューティーフリーみたいな、OK、OKみたいな。ブワーって売れてましたね。
去年の台南ペンショーで販売した時、外国でいうと3回目なんですけど、ワシントンとロスでも売ったので。ポロシャツに神戸インクって書いとるんですけど、それを見たときにみんなよく来てくれたって。そこはありがたいなと思いまし た。待ってましたって言われたときは。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–北野のお店の名前も神戸インク物語ですもんね。

完全オリジナルを県外のお客様にご提案するっていうお店ですね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
20色目ぐらいまではしんどかったわけでしょ?
めちゃめちゃしんどかったです。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
どの辺までいってあかんかったら止めるっていうのはあったんですか。
竹内とも言ってたんですけど、もうええかなって言うときもありましたよ。
本人も講演会で言うとほんまに在庫めちゃくちゃあったので。でも作り続けないとメーカー様って「一過性で終わったんじゃない?」って感じてしまうとこもあったので。沢山在庫持ってました。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
引き際って肝心じゃないですか。こんなん博打と一緒で引き際さえ間違えへんかったら何とかみたいなのはね、あるけども。
どうでしょうね。一番のタイミングってなんやろな。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–そんな状況なら、ふつうに考えたら社内では敵だらけみたいな状況ですよね、サラリーマンですもんね。

社内の中でもやっぱりもう止め時なんちゃいますみたいな意見もあったと思いますし、いやいやまだ売れるっていう意見もあったり。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–それこそ小売店やぞ、メーカーちゃうんやぞみたいなとこも絶対ありますよね、意識として。

エモジ 早馬
エモジ 早馬
5、10ぐらいで売れだしたら何か分かるんですよ。20もしたらもう我慢し過ぎじゃないかって。それが当然20の蓄積があったから多分乗っかっていったものもね、作れたんでしょうけども。自分が作り手になったときにね、20まで我慢できへんと思いますよ。5ぐらいでもうしびれきらして。
なんかあったんやろうな。うちの中でのターニングポイントもあって、20年ぐらい前でいうと万年筆の第一世代っていうラピタっていう本が1階あったんですよ。ラピタって分かりはります?ラピタって雑誌があったんですよ。ファッション雑誌。あれの付録が万年筆なんですね。出版業界の中でも凄く早くベタづけの付録やったんですよ。
ほんだら、その1000円ぐらいの本を買ったら万年筆ついてるけど中国製やからインク出えへんのですよ。ほんだら、ペンクリニックやっ てるところにみんな押しかけて来て、全部ラピタのペンの調整するんです。ほんで、どうだって言ったらむっちゃ書きやすくなるんですよ。そらそうじゃないですか。先生が一生懸命やってくれるわけですから。
そっから当時15年ぐらい前の万年筆の売上げがギューンと上がりましたね。もの凄い買いましたね。ダイアリーでいうとミスドのダイアリーのような、もうちょっと小さい規模の第一世代みたいな万年筆の上がり方しましたね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–それは、筆記具メーカーがラピタと仕掛けたっていうわけじゃないんですね?

全然違いますね。ほんとに小さい万年筆をおまけにして。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–カッコいいんちゃうぐらいだったかもしれないんですね。

そうです。万年筆ですっていう感じで出して。その後の店が凄く潤いましたね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–ペンクリニックの先生方はどんな心境だったんでしょうね。

そら最初やってられるかって。うちだけじゃないんですよ。どこいってもみんなラピタばっかりなんで。ラピタのクリニックやなって言うて。ラピタのためにやってるんやろっていうのもありましたけどね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–でも業界の発展のためにはっていうにやろうけど、でもしんどいですね。

文房具の中でやっぱり色んなポイントがあったりして、そういう筆記具のタイミングとノートでいうとモレスキンのタイミングもあったり、もう取り合いしてたり。
あんな高い1600円とか2300円とかの高級ノートが取り合いのタイミングがあって、またこうなってきて今度国産メーカーさんの普及ノ ートがまたきたりして。
やっぱり書くもの、万年筆だけじゃなくてカラーペンとかああいう物がどんどんメーカーさんが開発していくにつれて、ちょっと100均 も底打ったっていうのがありましたね。
150円、200円で価値ある物買った方がいいんじゃないっていうのが、やっぱりオフィスの中でも生まれてきて。
ここで100円のノート商談に出しますかみたいな。もうちょっと出せないですよねみたいな。例えばキャンパスノートとか、今でも絶対安くて良い物なんですけども、ちょっともう商談では出せんよねみたいな。売り場自身もそうなってきましたよね。そうしたらコクヨさんはさすがで、大人キャンパスとかシステミックとか出てくるんですけど、色んなタイミングで色んなカテゴリーのメーカーさんがパーソナルな方に振って頂いたっていうのが凄く思うところではありましたね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–相手の会社の商品を1つ使うとしたらなんでしょうか?

エモジ 早馬
エモジ 早馬
結構、僕、つけペン好きなんですよ。つけペンて油性のインクも使えるでしょ。ちょっとだけ絵描いてるときもあったんです。だから結構つけペンと。工業系の高校やったんで図面を清書するのにまだ烏口とか使ってたんで。ちゃんとインキのタイプで一定な線を引けるじゃないですか。
もうそんなん若い子に言っても分からないですよね。何ですか、烏口って。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
結構今でもつけペン使ってたりもするんですよ。

作り手の熱量を、小売店としてどう使い手に伝えるか

–ぼつぼつしめながらというところでいきたいんですけど。
FRATって基本的にビジネス展示会っていうところでいくので、小売店の方とか卸の方に自分達の商品を卸してもらいたい売ってもらい たいみたいなところを主なテーマでいくんですけど、我々も答えが出せないところがあって。
さっきのイベントじゃないですけど自分達の企画したもの。ある程度数が出る物じゃないと卸価格に合わなかったりするんで、そういう中でどう熱量を伝えていければいいのかなとか、どういう自分達の思いが最終お店からユーザーさん、使ってくれる人に伝わるにはどういう思いを伝えていきたいのかっていうところはどうお考えですか?
使う人にとってどういう風に使ってもらいたいかとかそういう感じですかね。

メーカーさんのトレンドっていうものを意識をしましょうとは言ってます。今、どの方向にどんな商材を動かしていってるんやっていうのをうちなりのノウハウをかけることによって、やり方が変わる。イコール価値が変わってくるみたいなところにチャレンジしたいなって思うところがあって。
最終エンドユーザーさんが、うちであろうが、どこであろうが変わらないと思ってるんですね。それなりの価値の商品を作ってると思うんですよ。一般にいけば、国産インクって400円からあるんですよね、ボトルでいえば。小さいですけど、十分ですよ。
なぜ1800円の神戸インクを買って頂けるのかっていうところもありますし、海外のお客様でいうと万年筆っていうものがなぜこんなに 小売店で買って頂けるのか。例えば細部の部分にこだわるとか、ですね。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
でもそれ大事やと思いますね。
大事ですね。めちゃこだわれるところはこだわりますね。メーカー様との信頼関係等、ほんまに責任を持って物を作ってるっていうところは大事にします。
でも何かこういう物って欲しいよねって思わないと。それやったら、エンドユーザーさん、さっき早馬さんが言われたように何か詰めるだけの作業って何か見たら売れへんていう匂いなのかっていうのは感じとれてしまうんかなって思うところはありますね。
何となくなんですけど、木ノ本が今、紙製品を一生懸命作ってもろたり、女性に喜んでもらえる商品に彼女が関心が高いので一生懸命作ってもらうんですけど。トレンドっていうものを意識をして色んな展示会に一杯行った方がいいよっていうのが、紙、筆記用具だけじゃなくて、雑貨もそうですし、全然違う物。ペットでもいいよっていう部分も見てきて感じとってきて。なかったらなかったでいいやんていうのもあるんですけど、これだけ沢山あったら色んな物も入れていかないと次ないんやって思うところです。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–ボリュームゾーン狙いたいっていうのは大事ですよね。その観点は絶対いるなと思ってます。

早馬さんね、うち以外にも色んな紙イベントでオファーをされるじゃないですか。そういうものって、大変って思わないですか?
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川
エモジ 早馬
エモジ 早馬
その辺ね、サラリーマンぽいんですよね。言えば、元サラリーマンやってましたんで付き合いもあるやろみたいなね。これがあるからこれがあるしみたいなんは。一つのイベントだけやったらね、これ受けたくないなっていうのは正直ありますけども、これがあってこれがあってのお付き合いじゃないのとは思ってるんで。
別にそんなにイベントを選びたいとか大それたことを言うわけではなくて、ただ今これ以上増やせないなっていうのは正直なとこで。うちノート作ってるじゃないですか。あれ誰がやってもいいってわけじゃなくて、ノートが作れないと出せないんで、どうしても人間に限りが。
お店もやっぱりずっとイベントがあっても開けたりしてるんで、人材的なところで限界があるので、そこ以外の可能な範囲であればいいのかなとは思いますね。
お店の方にも来てもらえる。そこのイベントから発生してうちの方にも来てもらえるとか、神戸の方に来て頂いた方がうちのお店に来てもらったりとか、阪神さん、阪急さんとか来られた方が来てくれるっていうのがやっぱりあったりするんで宣伝というかそれも含めて。

全然おごった捉え方でもいいんですけど、うちのイベントでメジャーになっていく方が出たら嬉しいですね。例えば初めて出て頂いた作家さんとかで、暮らし市に出てくれてて1日目ほぼゼロで、全然帰られへんですわみたいな感じで。2日目7本、良かったな 言うて、今日電車で帰れるやんて、まだ若いお兄さんですよ。最後もまあまあ売れて、良かったな今日特急で帰れるやんて言うて、和泉の方なんですよ。
次、ほんとに良い商品やったんで、うちでも取り扱いさせてほしいってお願いをして、お願いしますみたいな感じやったんですけど。どんどん色んなところでメジャーになってくれればなって風には思って。そういうのをうちのステージで使ってもらったら、またどっか色んなバイヤーさんも見てて、また色んなお話しがつながると思うけどみたいなお話をしてたんで。
共に楽しくやっていきたいとは思うんですけど、そういうところでご商売がうまいこといければなって多分に思うところで、色んなオファーを投げてるじゃないですか、うちも。それが受けられる方にとっては、凄い悩むところではあるんですけど、あれもこれも何社も同じようなテーマを持ってっていうものが最近凄く多くなってきて、メーカーさんのお立場でいうとどうなんかなって思うところもあってきたりしてきてるんですけど。
ナガサワ文具センター 裏川
ナガサワ文具センター 裏川

–その先にどういう物作りができるとか、どういうお客様とつながっていけるのかとか難しいですよね。
FRATに関してもこういう話を現場でぜひ色んな形で出来たらいいなって思ってるんですけど。どう最終ユーザーに届けていくのかと か、当然実店舗がありイベントがあり、その次にどうしていくみたいな、絶対みんな同じような課題を抱えていると思って。そこをさっ くばらんに話せるような場になれたらっていうときに、やっぱりお2人共店舗やってらっしゃるんで、店舗やってらっしゃって色んなア プローチで来てる方が卸すっていうことを目的として、凄く我々としても面白いし展示会として見ても面白いと思うんですよ。
こんな立場の人が来てこんなことしてくれる。そういう意味で出て下さるの凄いありがたいと思いますし、ぜひ一緒に楽しく難しい話を出来ればと思ってます。

【クロストーク】ぷんぷく堂 x 富国紙業

夕方5時からユルく開いている文具店を営みながら、さまざまなオリジナル文具を発表しているメーカーでもある、ぷんぷく堂の櫻井さん。老舗紙問屋としての顔を持ちながら、大学との産学連携でオリジナルブランド「WRAPALLET」を発信し始めた富国紙業の加藤さん。印刷や紙といった共通のバックボーンを持つおふたりは、やはり紙の話で盛り上がる展開に。自己紹介を兼ねて、改めてトークしていただきました。

 

【プロフィール】

 櫻井有紀 1965年生まれ。東京出身。専門学校卒業後、デザイン事務所・広告代理店・印刷会社を経て結婚。2012年「夜の文具店・ぷんぷく堂」を開業。2014年頃から「私が欲しかった文具を製作する文具メーカー」を始める。2017年「あなたの小道具箱」で第26回日本文具大賞デザイン部門グランプルを受賞。

 加藤久美子 1960年東京生まれ。女子大学卒業後インテリアメーカーに就職し、テキスタイルを活かした商品の生産・管理を担当。4年半の勤務後、父が創業した紙の卸売問屋に入社。現場、事務、営業、総務と全ての職務を経験し、2000年に社長に就任。2018年に紙の可能性を発信するべく「WRAPALLET」を立ち上げる。

 

どんなブランド?

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂の櫻井有紀と申します。2012年、千葉県市川市に「夜の文具店」をオープンしました。約2.5坪の狭い空間で、私が目利きした文具だけを扱っているんですが、全国からお客様が来られる変なお店です(笑)。そして「私が欲しかった文具」を形にしている文具メーカーでもあります。
なぜショップを始めようと思われたんですか?
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
私も夫も、もともと印刷業界で働いてまして。私は版下を作り、夫はレタッチという仕事をしていたんですが、子供が生まれてから「これからの印刷会社はやばい」という実感がありまして。それで「ふたりでお店を持ちたい」という夢を実現したんです。

 

 

当初から「夜だけ開く」コンセプトでやろうと、ご夫婦で話し合って決められたんですか?
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
いえ、たまたまですね。義理の姉が所有している倉庫がたまたま空いて、いくらかお金を出して借りまして。もともと集めていた鉛筆とか紙類とか、私が売りたいものを売る感じで。でも食べていくための仕事を潔くやめることができなくて。それで夜の7時から10時までの3時間営業してました。
では私も、自己紹介を。WRAPALLETというブランドをやっている富国紙業株式会社の加藤久美子と申します。もともとは昭和40年に父が設立した紙の卸売問屋です。先ほど「印刷業界の先行きが」とおっしゃってたのと同じで、問屋業の展望が厳しいというのを前々から感じていて。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

紙問屋って、印刷屋さんが仕事を取って来ないとこちらに注文が来ない「待ち仕事」なんですよ。だから「このままでは先がない」「紙の魅力を自分から発信していこう」と考えまして。そんなとき、運よく多摩美術大学と産学連携ができ、学生たちと紙の可能性を模索していって、その中で生まれたアイデアを商品化し始めました。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

どんな商品を発信してる?

 

たとえば「ステーショナリーフォルダー」という商品がありまして。ブロックメモを持ち歩いて、打ち合わせの時にさっと使いたいとおっしゃったデザイナーさんがいて、バッグにいれると紙がクシャクシャになっちゃうから「ケースが欲しい」と言われたんですね。「じゃあ作ります」ってノリで作りました。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
これ、大和板紙の板紙ですよね。
そうなんです。何にも印刷もしてないし、ブランドロゴさえもついていなくて、留めるものもありません。でも留めるものは自分で買って工夫していただきたいんですね。だって世の中にたくさんブックバンドがあるじゃないですか。それを応用すれば、自分だけのオリジナルになりますから。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ええ。
シンプルにすればするほど手を加えやすいですし、加えることで「自分だけのもの」になります。だからあえて「完成させる手前のもの」を提供する、というコンセプトに行きつきました。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
富国紙業さんの商品って正方形が多いですよね。もともと私も印刷会社で働いていたので、何となく「紙の取り都合」を考えてしまって。一見無駄が出そうな正方形にこだわられてるのが面白いなって感じました。

 

――ぷんぷく堂さんにも正方形の「したたメモ」がありますよね。

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
はい、「1日100文字したたメモ」という商品です。私はパソコン通信の流れから2008年にTwitterを始めた自称SNSオタクなんですけど、Instagramはちょっと敬遠してたんです。でも「写真だけアップすればいいのよ」と教えてもらって始めてみたところ、みなさん手帳に書いたものを正方形で写真を撮って投稿されてるのに気がついて。そこでInstagram用の投稿用紙として商品化しました。

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
めっちゃ分厚いチップボールを使ってるのには訳があって、書いたら立てられるんです。書いたものを下にして撮影すると、自分の影が写っちゃうんから、立てられるようにしたんですね。
なるほど、なるほど。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
それで1日に100文字したためてアップしましょう、31枚綴りで1か月分です、という商品です。2、3年前に発売したんですが、今頃になって人気が出てます。
そう言えば、うちの社員がぷんぷく堂さんのピンクの小道具箱を見つけたとき、「間に合わなくて買えなかった、残念」って言ってました。たしか1周年記念で作られた…
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「あなたの小道具箱」ですね。2016年に4色で発売した商品で、お店に一番に買いに来てくださったお客さんが「ピンクもあったらゴレンジャーだね」っておっしゃって。「それもらいます!」って心に決めて、ずっと胸に温めていたものを、1周年記念で販売したんです。
(紙は)パスコですよね。うちもパスコで、紙の厚みが一番薄いやつを使った商品があるんです。「GROOVE TESTA」と言います。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
厚さは1.2ですか?
1です。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「あなたの小道具箱」は1.6なんですよ。1mmですか。
多摩美の子が考えてくれたアイデアなんですが、無限にいろんな形を作れる脳トレパズルみたいな商品です。リーズナブルな値段で売りたかったから、抜型で何とか抜いてやろうと型代に100万円ぐらいかけたんですが、量産するのはやっぱりダメで。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ああ。
パスコって硬くてしっかりした紙なだけに、刃が負けちゃうんですよね。金属の刃が紙に負けるって、びっくりされる方もいると思うんですけど、紙は作り方によっては強靭になるという1つの表れですよね。でもパスコって日本で唯一「一層漉き」に近い作り方をしてる紙で。
富国紙業 加藤
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――一層漉き?

こういう板紙は積層と言って、いくつもあるロールに原料でシートにしたものを、まだウェットな間に重ねてプレスして作るんですね。なので端が剥がれてヘロヘロになりやすいんですよ。厚い紙は大抵そういう風にできてます。でも一層漉きのパスコはそうはならないし、ピースを何度もはめたり外したりするこの商品には欠かせません。とても貴重な紙なんです。
富国紙業 加藤
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ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
この前「あなたの小道具箱」をずっと使ってくださってる方が、段々つやつやになってきたのを「育ってきた」と言ってました。
紙って革と一緒で経時変化のするものなので、使い込んだら「顔」が出てきますよね。それにたとえば角が傷んだときも、上手にマスキングテープで補修したらいい雰囲気になるじゃないですか。ボロボロになっても、そういう風に最後まで使い切ってほしいですよね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ええ。
紙って微妙に同じ厚さじゃないんですよね。「GROOVE TESTA」もピースによって入りやすい、入りづらいが少しあって。紙の欠点でもありますけど、全部が同じになるプラスチック成形と違って、気持ちよくはまるピースを見つける楽しみ方もあるのかなと。
富国紙業 加藤
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ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ワンシートになってるんですね。
そうです。プラモデルを作るときにみたいに、パーツを自分で抜き出す面白さから入っていただけたら。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ええ。
コンセプト的にはお父さんと子どもが一緒に遊んでくれて、家族の団らんが増えたらなあと。LEGOみたいに世代を超えて「昔遊んだおじいちゃんが孫とやる」みたいに、ロングランな商品にできたらと思ってます。
富国紙業 加藤
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ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「パスコは50年もつ」って言われてますよね。それとプラスして、使っていくうちにだんだん艶が出てきます。2年も経ったら、表面がテカテカになるんですよね。
手の脂が乗ってきますからね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

若者も高いモノを買う時代

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「あなたの小道具箱」の半分のサイズの「いろこばこ」という商品がありまして、これもパスコです。色の名前を食べ物にして、レモン、ピーチ、マスカット、ソーダの4色にしたんです。

 

 

ええ。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
職人さんに支えられて販売できてるんですが、値段が2400円もするんですよ(注:税込み2,376円)。でも問屋さんに「なんでこんなに売れるの」って言われます。やっぱり売れるにはワケがあって、高いものを頑張ってお金出して買った方が、実は使いやすくて、ずっと使い続けられるんですよね。
大事なことですよね、価値に対してきちんとした価格で売るというのが。バブルが崩壊してデフレになって、まだ世の中が「安くて良いもの」に引きずられてますけど、それだと職人さんが生活できなくなっちゃうし、いなくなっちゃう。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「値段が高いのにはワケがある」と考えてくださるユーザーさんは増えてきてますね。ぷんぷく堂のお店に来られるお客様もそうですが、今は若い方が高いものを買われます。
ああ。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「高いのにはきっとワケがあるんだろう」と思って、みなさんスマホで調べるんです。
それは、お店の中で?
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
そうなんです。直に聞く方もいらっしゃいますけど、自分で検索されますね。うちのオリジナル文具に限らないですが、自分で調べる方が結構多くなってきましたね。高いものも納得して買われる方が増えた実感があります。
物は有限じゃないですか。今の若い子たちが地球上の有限を実感しながら、物を大切に使ってくれるというのは、すごく嬉しい話ですね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

FRATについて思うこと

 

――ぷんぷく堂さんはメーカーでもあり小売店の立場でもありますが、(バイヤー向け展示会の)FRATにどんなことを期待されてますか?

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
うちのサイトを見られた全国の方が、ぷんぷく堂に行きたがってるっていう話をよく聞くんですね。特にオリジナルの文具に関しては「なかなか買いに行けない」って方からメールをいただいたり。なので小売店さんや問屋さんの力が必要だなと思いまして。大きい量販店さんにも置いていただきたいんです。

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
それに今回ご縁があったFRATには「この商品を見たら顔が思い浮かぶ」文具メーカーさんが集まってるので、私も一緒になって出せたらいいなって。なんか、夢のようなイベントですよね。

 

――自分たちで「展示会をつくる」って、なかなかないですしね。

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ないですよね。
私もFRATのコンセプトを伺ったときに「声をかけてもらって何てラッキーなんだ」と思いましたね。まだブランドを立ち上げたばかりで、みなさんについていくのが精一杯ですが。なにせまだ双葉マークが取れたてなので。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
いえいえ、そんなことないですよ。紙についてはもう(創業から)54年じゃないですか。
それはたしかにそうですね。もとが紙問屋ですから、世の中に売られてない、販売ルートがガチガチに決まっている機能紙をちょこっともらえる立ち位置なのはメリットですね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
うらやましい(笑)
せっかく紙問屋がプロダクトをやるわけですから「こういうものを使って、こんな生活を送ってほしい」という提案型の商品作りをしています。そんな中でみなさんが意識してない、見えてない「縁の下の力持ち的な紙」が世に出ることで、紙に興味を持ってもらえたら本望ですね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

――最後に、FRATにはどういう方に来てもらいたいですか?

やっぱり商品のコンセプトを一緒に共有して、わたしたちの商品を売ってあげたいと思ってくださるバイヤーさんと組みたいですよね。ですので思いを一緒に発信してくださるような方に来ていていただきたいです。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
今回、26社が勢ぞろいしたことって、本当に画期的なことだと思うんですよね。文具業界に殴り込みをかけるイベントになると期待してますし、私個人としても、私が考えた文具を手取り足取りバイヤーさんに伝えていきたいなと思ってます。

 

ぷんぷく堂のサイトはこちら
WRAPALLET(富国紙業)のサイトはこちら

【クロストーク】Beahouse x 紀寺商事

ひとり文具メーカーとしてテレビや雑誌に何度も登場、「フリーサイズブックカバー」や「どや文具ペンケース」などアイデアたっぷりの商品を作っているベアハウスの阿部さんと、文具問屋ながらもたくさんの個性的なオリジナル商品を作り出している紀寺商事の森地さん。今回は所縁の深い2名による、関西メーカー同士のクロストークを行いました。(聞き手〜ロンド工房、荒川)

–それでは、まず阿部さんから自己紹介をお願いします。

株式会社Beahouse(ベアハウス)と申しまして、私、阿部大起が一人でやっている文具メーカーです。2011年に創業して、今まで8年やってます。基本的に自分の好きな文房具を作るというのをコンセプトにしています。なおかつ、デザインじゃなくて機能性とか、作り手の思いとかを大切に、形にしています。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–Beahouseってもう8年なんですね。自分が一番気に入ってる自分の商品を教えていただけますか?

一番最初に作った商品である、フリーサイズブックカバーです。僕がほしくてサラリーマン時代に作った商品で、文庫本からA4サイズまで1枚で幅広く対応する、特許を取得したブックカバーです。また後で話すんですけど、このブックカバーが、森地さんと僕をつないでくれたわけなんです。ええ話が、とっておきがありますんで、また後で話させてもらおうかなと思います。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–FRATにかける思いをお願いします。

僕自身FRATの運営側でもありますので。いろんなメーカーさんに出ていただくので、みなさんが楽しんでもらえるような。去年はパーティー形式の、FRATゼロっていうのやったんですけど、すごく熱量のある、小さいんですけど熱量のあるイベントができたと実感しています。それをもう1回やりたいですね。ちゃんと相手の顔を見て話せるようなイベントにしていきたいなと考えています。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–ありがとうございます。では次、森地さん、自己紹介からお願いします。。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
大学卒業して、メーカーであるナカバヤシに入社して。それである縁で30のときに、紀寺商事に移っていったというかたちですね。そこから、30のときに転職して紀寺商事お世話になって25年ということで、今年ゴーゴーという55の年になると。広く浅く文具のことは関わっていってるというかたちの、普通のおっさんです。

–55歳ですか。全然見えないですね。

若く見えますよね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–紀寺商事っていう会社は文具の商社ですが、なぜFRATに出るのかというところを教えてください。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
紀寺商事っていうのは、文具の商社ですね。明治45年の10月3日創業です。創業105年ぐらい。僕の誕生日なんだ、10月3日って。だから何かの縁なんかなというふうに感じますね。僕らもほんま商社やってますけれども、いろんなライバル商社がいっぱいある中で、オリジナリティーを出していきたいというかたちでやりはじめたのが、オリジナル商品です。今年はちょっとカタログを出しまして、ついに。

–オリジナル商品をいろいろ作るようになってきましたよね。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
今まで多分300SKUぐらいやってる。

300SKU。大メーカーや。一番メーカーしてますね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
でもネームバリューがないんで。メーカーさんの力を借りると。

–基本は文具メーカーにお願いして作ってることが多いんですね。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
ただ今回FRATにかけては、もう1ランクアップをしようかなと思ってるんで、そのためにやってることはあります。それ、ここでも言うていいですけど、発表はしてもまだNGで。

–今一押しの商品はどちらですか?。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
スマッシュを今回。銅を出したいので、金銀のやつをうちで取ろうかという。
セットですか。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
いや、セットは来年1月1日に発売しようかなと。
結構先ですね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
それを5年前からやっと計画してきて。
5カ年計画。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
5カ年計画で。ここにナンバリングしようかなと思って。

–シリアルナンバー。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
1,000個限定でね。もう1,000個しか作らないかたち。今回の一押しになります。

–では、FRATにかける思いをお願いします。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
もう若く見えても年取ってきてるという部分も、感性とかもうついて行けない部分もできて来てるので、刺激をもらいにいきたいのは1つというのと、もう1個はアイディアを、いろんな人としゃべってアイディアの活性化をしたいというふうに思ってます。それから、それに伴う、今後商品を作るためのヒントを追究できたらというのと、もう1個は人との出会い。これが僕の中でめちゃめちゃ一番です。そういう感じで何となく楽しく、飲みもありでやっていったらいいかなって思ってます。すごい楽しみにして、夜も寝られへんわ。
朝までずっと文具と飲み。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

お互いの会社について感じるところ

–阿部さんが紀寺商事さんのことをどう思ってるか、印象を教えていただけますか?

さっきチラッと話したんですけど、うちの創業から実はご縁がある会社さんなんです。実は僕がサラリーマン時代、前職カバン屋だったんですが、メーカーとしてギフトショーに出展していたときに森地さんがフラッと来はって、名刺交換さしてもらってたんです。僕文具好きやったから、ずっと名刺持ってたんですよ。うちの商品(カバン)はそんときは買うてもらえんかったんですけど、ずっと大切に名刺を持ってて、独立してブックカバーを作ってから売りに行きました。一番最初のお客さんです。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
僕、阿部くんのことあんまり覚えてなくて、カバン屋のところで名刺渡したのは。
東大阪に紀寺商事さんの会社を見にいかさしてもろて、初めて問屋さんに営業したのが森地さんでした。文具屋さんに営業をするっていうイメージが自分の中に一切無かったんです。これまでカバン屋としてハンズさんとかしか営業したことなかったんで。こんな感じなんやって思って。「おお、やっちゃる、やっちゃる」ってすぐ採用してくれた。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–すごい、いいですね。心強いというか。

超、心強いですね。そこから8年間のお付き合い。紀寺さんに関してもいいイメージしかなくて。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
ありがとうございます。
今日も出荷してくれたし。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–すばらしい、いいですね。森地さんから見たBeahouseさんて、どんな会社ですか?

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
ブックカバーを作った一人メーカーかな。今やったらどこでも入ってるし。別に普通に発注は上がってくるし。だからすごい、Beahouseの中の柱になってるんじゃないかなっていう商品。超定番。
柱1本だけなんですけどね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–長くお付き合いされてて、立ち上がりから今までの成長とか横で見てきて感じることはありますか?

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
いろんなテレビとか出てたりね。パーっとホームページとか出てたり。前かて僕、飲みの席で言うたと思うけども、あなたたちはSNSの申し子みたいな方たちだから。そういう年代。SNSが出て来て、それで世の中でアピールする。昔は金もかかるしね。組織、大きい会社同士の付き合いとか。今は個人レベルがビジネスにしやすくなってますね。3Dプリンターでも手に入ってすぐに商品ができるし、イラストレーターでイメージができて、こうですよとかビジュアルで表現することもできるし、クラウドファンディングで資金調達もできるし。いろんな部分で個人対個人の世界になっていく、ちょうど一人メーカーっていうのはいいんじゃないかなというような気がします。

–その中でも特に阿部さんが持ってるものはなんでしょうか?

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
アイディアじゃないかなと。このアイディアはすばらしい。

相手の会社の商品について

–阿部さんが、紀寺商事さんの商品を1つ使うとしたら、何でしょうか?

クレヨンの柄のお道具箱です。サクラクレパスの柄、買わしてもろて。大中小ってあって、すごい便利なんですよ。自分用と子供にも買いました。実はお道具箱って、子供って学校で使ってるじゃないですか。あれってやっぱり、なんやかんや便利なんですよ。僕らみたいな仕事してたら文房具って増えてくるじゃないですか。ちょっと分厚い、例えばホッチキスとか引き出しに入りきれへんときあるんですね。穴あけパンチとか。やっぱ、お道具箱って便利なんです。ガバっと全部入れるし。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–実際かわいいですもんね。お道具箱って何種類ぐらい展開されているんですか?

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
3種類、これだけ。普通のやつとポストカードと名刺サイズ。A4も作ろうかなと思ったけど、物量が大変なんでね。

–箱って空気売ってるようなもんですもんね。送料がね。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
だからちょっとここで。これ東洋スチールでこれぐらいのやつ、これミリタリーカラーで、自分とこのカラーで2,000個作ったんで。

–ミリタリー系好きですもんね。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
まだ世に出てないけども、まだ行くねんミリタリーが。これが多分FRATに間に合うかなって。
箱系多いですね。お道具箱、弁当箱。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
これ1個だけ作ったら、なかなか売れない。バリエーションが必要やね。

–逆に森地さんのほうから、Beahouseの商品で1つ使うとしたら何でしょうか?

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
気になるやつはこのペンケースなんですよね。ちょこちょこ販売しとってんけども、7,600円だったかな。値段がちょっと高いんだよね。そこやねと思って。もうちょっと安かったら、もうちょっと売れるんかなと。僕1個聞きたかったんが、これ結構おしゃれにできて、あえて何でここベタで「どや文具」と入れたんか、その理由をちょっと聞きたかった。
どや文具会という文具好きのコミュニティーがあって、それでさっき言ったSNSのTwitter上で会議しながら、ペンケース作ろうって。その会の名前がどや文具会っていうんです。これは記念に、僕だけが作ったんじゃなくて、その会の人のアイディアとかいっぱい入れたので、それを押してます。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
でも、今でも定番でずっと続けて。
続けてます。うちの商品唯一、この商品だけが僕だけのアイディアじゃないんです。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–みんなのアイディア。

みんなのアイディアなんで。それでBeahouse、どや文具会のスタンプを2つ入れてあります。他は全部一人だけのアイディアで作った商品なんですけど。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–森地さんて商社って立場でもあるから、ものすごいおびただしい数の文具を見てきてるじゃないですか。その中でもBeahouseの商品ってのはアイディアが際立つ感じですか?

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
間違いなくこのペンケースは他にない、どこにもないです。あと気になるのは、これは懐かしい、図書カード。
ワタシ文庫ですね。貸し出しカード型のしおり。僕も小さいときは使ってました。でも今の小学生は初めて見るものだから、懐かしいとかないんですよ。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
今はどうなんですか?
今はもうバーコードです。こんなん借りたっていうのはもう書いてないです。だから、これはどうやって使うかわからへんし。何やこれ、みたいな感じ。親御さんの年代にしたら、懐かしいってなるんでしょうね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
違いで言うたら、みなさんそうやねんけども、僕はゼロから生めない人間なんで。一応、1から2、3にはできるけども、あなたたちは多分ゼロから1というのを作ってる人なんで、そこがやっぱり違いがあるのかなというのは思いますね。
いやでも、その1から2とか3とか10とかね、いろんなメーカーさんがいろんな商品置かれて、オリジナル化できるとかいう強みですよね。
僕ちょっと面白いなと思ったのは、昨今女子文具や何や言うんてるんですけども、紀寺さんの商品って結構男っぽいのも多いんですよ。森地さんの目利き力というか。ミリタリー感、グレーとか、金属ゴテゴテとか。ユニセックスじゃなくて男性感があるんです。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–アメリカのホームセンターみたいなイメージの色味が。

色味がね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
あえて今月出るのはこれ。ストレージクリップボードっていう、A4のクリップボード。
これ、中に入るんですね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
中に入って取っ手も付いてるという。ハンズさんとかで売ってるのは、ここがないやつ。

–取っ手がないんですか。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
取っ手あるやつを、ISOTの台湾ブースで見つけて、ちょっとしゃべって。ハウマッチって、ロット1,000個でOKって言って、輸入したいって。これかっこいいんよ。今日持って来られんかった。でかいから。
これA4ぐらいですか?
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
この書類がA4。外にクリップで、中にガッと開けて書類とか入れて。手で持って。

–工具箱感がすごい。

iPadも入るんだ。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部

–入りそうですね。これプラスチック。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
プラスチック。これ日本になかったんで、その台湾のおっさんにしゃべって。

–紀寺さんの商品で森地さんの目が入らずに作ったものってあるんですか?

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
あ、少しはありますよ。メガネハサミなんか、これで迷彩つくりたいって言うた人がおって、面白いね、ほな作ろうって言ってそんなのは。これも誰かがやりたいちゅう言うて、これもアイディアもろた。折りたたみの傘、これも迷彩柄。

–しかもキーホルダーなんですね。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
最近おもろかったのは、とある靴ベラがブリスターパックやったのを、箱作って包装変えてたら父の日向けのギフトで結構売れたとか。しめしめっていう感じですよ。
これはすごい。売り方の問題ですよね。
ベアハウス 阿部
ベアハウス 阿部
紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
箱に入れてね。500円とか知れてるのに。だからプチギフトでできるのかな。

–その感性、業界で持ってる方めっちゃ珍しくないですか。

紀寺商事 森地
紀寺商事 森地
いや、これはでもね、出してるときのヒントが、お客さんが箱やったらなって言うから、こんな作ろうかって。

–そこで、ほな作ろうかって思わないです。普通。めんどくさいから。

紀寺商事 森地
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