FRAT-合同展示会-

【クロストーク】ぷんぷく堂 x 富国紙業

【クロストーク】ぷんぷく堂 x 富国紙業

夕方5時からユルく開いている文具店を営みながら、さまざまなオリジナル文具を発表しているメーカーでもある、ぷんぷく堂の櫻井さん。老舗紙問屋としての顔を持ちながら、大学との産学連携でオリジナルブランド「WRAPALLET」を発信し始めた富国紙業の加藤さん。印刷や紙といった共通のバックボーンを持つおふたりは、やはり紙の話で盛り上がる展開に。自己紹介を兼ねて、改めてトークしていただきました。

 

【プロフィール】

 櫻井有紀 1965年生まれ。東京出身。専門学校卒業後、デザイン事務所・広告代理店・印刷会社を経て結婚。2012年「夜の文具店・ぷんぷく堂」を開業。2014年頃から「私が欲しかった文具を製作する文具メーカー」を始める。2017年「あなたの小道具箱」で第26回日本文具大賞デザイン部門グランプルを受賞。

 加藤久美子 1960年東京生まれ。女子大学卒業後インテリアメーカーに就職し、テキスタイルを活かした商品の生産・管理を担当。4年半の勤務後、父が創業した紙の卸売問屋に入社。現場、事務、営業、総務と全ての職務を経験し、2000年に社長に就任。2018年に紙の可能性を発信するべく「WRAPALLET」を立ち上げる。

 

どんなブランド?

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂の櫻井有紀と申します。2012年、千葉県市川市に「夜の文具店」をオープンしました。約2.5坪の狭い空間で、私が目利きした文具だけを扱っているんですが、全国からお客様が来られる変なお店です(笑)。そして「私が欲しかった文具」を形にしている文具メーカーでもあります。
なぜショップを始めようと思われたんですか?
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
私も夫も、もともと印刷業界で働いてまして。私は版下を作り、夫はレタッチという仕事をしていたんですが、子供が生まれてから「これからの印刷会社はやばい」という実感がありまして。それで「ふたりでお店を持ちたい」という夢を実現したんです。

 

 

当初から「夜だけ開く」コンセプトでやろうと、ご夫婦で話し合って決められたんですか?
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
いえ、たまたまですね。義理の姉が所有している倉庫がたまたま空いて、いくらかお金を出して借りまして。もともと集めていた鉛筆とか紙類とか、私が売りたいものを売る感じで。でも食べていくための仕事を潔くやめることができなくて。それで夜の7時から10時までの3時間営業してました。
では私も、自己紹介を。WRAPALLETというブランドをやっている富国紙業株式会社の加藤久美子と申します。もともとは昭和40年に父が設立した紙の卸売問屋です。先ほど「印刷業界の先行きが」とおっしゃってたのと同じで、問屋業の展望が厳しいというのを前々から感じていて。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

紙問屋って、印刷屋さんが仕事を取って来ないとこちらに注文が来ない「待ち仕事」なんですよ。だから「このままでは先がない」「紙の魅力を自分から発信していこう」と考えまして。そんなとき、運よく多摩美術大学と産学連携ができ、学生たちと紙の可能性を模索していって、その中で生まれたアイデアを商品化し始めました。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

どんな商品を発信してる?

 

たとえば「ステーショナリーフォルダー」という商品がありまして。ブロックメモを持ち歩いて、打ち合わせの時にさっと使いたいとおっしゃったデザイナーさんがいて、バッグにいれると紙がクシャクシャになっちゃうから「ケースが欲しい」と言われたんですね。「じゃあ作ります」ってノリで作りました。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
これ、大和板紙の板紙ですよね。
そうなんです。何にも印刷もしてないし、ブランドロゴさえもついていなくて、留めるものもありません。でも留めるものは自分で買って工夫していただきたいんですね。だって世の中にたくさんブックバンドがあるじゃないですか。それを応用すれば、自分だけのオリジナルになりますから。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ええ。
シンプルにすればするほど手を加えやすいですし、加えることで「自分だけのもの」になります。だからあえて「完成させる手前のもの」を提供する、というコンセプトに行きつきました。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
富国紙業さんの商品って正方形が多いですよね。もともと私も印刷会社で働いていたので、何となく「紙の取り都合」を考えてしまって。一見無駄が出そうな正方形にこだわられてるのが面白いなって感じました。

 

――ぷんぷく堂さんにも正方形の「したたメモ」がありますよね。

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
はい、「1日100文字したたメモ」という商品です。私はパソコン通信の流れから2008年にTwitterを始めた自称SNSオタクなんですけど、Instagramはちょっと敬遠してたんです。でも「写真だけアップすればいいのよ」と教えてもらって始めてみたところ、みなさん手帳に書いたものを正方形で写真を撮って投稿されてるのに気がついて。そこでInstagram用の投稿用紙として商品化しました。

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
めっちゃ分厚いチップボールを使ってるのには訳があって、書いたら立てられるんです。書いたものを下にして撮影すると、自分の影が写っちゃうんから、立てられるようにしたんですね。
なるほど、なるほど。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
それで1日に100文字したためてアップしましょう、31枚綴りで1か月分です、という商品です。2、3年前に発売したんですが、今頃になって人気が出てます。
そう言えば、うちの社員がぷんぷく堂さんのピンクの小道具箱を見つけたとき、「間に合わなくて買えなかった、残念」って言ってました。たしか1周年記念で作られた…
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「あなたの小道具箱」ですね。2016年に4色で発売した商品で、お店に一番に買いに来てくださったお客さんが「ピンクもあったらゴレンジャーだね」っておっしゃって。「それもらいます!」って心に決めて、ずっと胸に温めていたものを、1周年記念で販売したんです。
(紙は)パスコですよね。うちもパスコで、紙の厚みが一番薄いやつを使った商品があるんです。「GROOVE TESTA」と言います。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
厚さは1.2ですか?
1です。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「あなたの小道具箱」は1.6なんですよ。1mmですか。
多摩美の子が考えてくれたアイデアなんですが、無限にいろんな形を作れる脳トレパズルみたいな商品です。リーズナブルな値段で売りたかったから、抜型で何とか抜いてやろうと型代に100万円ぐらいかけたんですが、量産するのはやっぱりダメで。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ああ。
パスコって硬くてしっかりした紙なだけに、刃が負けちゃうんですよね。金属の刃が紙に負けるって、びっくりされる方もいると思うんですけど、紙は作り方によっては強靭になるという1つの表れですよね。でもパスコって日本で唯一「一層漉き」に近い作り方をしてる紙で。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

――一層漉き?

こういう板紙は積層と言って、いくつもあるロールに原料でシートにしたものを、まだウェットな間に重ねてプレスして作るんですね。なので端が剥がれてヘロヘロになりやすいんですよ。厚い紙は大抵そういう風にできてます。でも一層漉きのパスコはそうはならないし、ピースを何度もはめたり外したりするこの商品には欠かせません。とても貴重な紙なんです。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
この前「あなたの小道具箱」をずっと使ってくださってる方が、段々つやつやになってきたのを「育ってきた」と言ってました。
紙って革と一緒で経時変化のするものなので、使い込んだら「顔」が出てきますよね。それにたとえば角が傷んだときも、上手にマスキングテープで補修したらいい雰囲気になるじゃないですか。ボロボロになっても、そういう風に最後まで使い切ってほしいですよね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ええ。
紙って微妙に同じ厚さじゃないんですよね。「GROOVE TESTA」もピースによって入りやすい、入りづらいが少しあって。紙の欠点でもありますけど、全部が同じになるプラスチック成形と違って、気持ちよくはまるピースを見つける楽しみ方もあるのかなと。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ワンシートになってるんですね。
そうです。プラモデルを作るときにみたいに、パーツを自分で抜き出す面白さから入っていただけたら。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ええ。
コンセプト的にはお父さんと子どもが一緒に遊んでくれて、家族の団らんが増えたらなあと。LEGOみたいに世代を超えて「昔遊んだおじいちゃんが孫とやる」みたいに、ロングランな商品にできたらと思ってます。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「パスコは50年もつ」って言われてますよね。それとプラスして、使っていくうちにだんだん艶が出てきます。2年も経ったら、表面がテカテカになるんですよね。
手の脂が乗ってきますからね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

若者も高いモノを買う時代

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「あなたの小道具箱」の半分のサイズの「いろこばこ」という商品がありまして、これもパスコです。色の名前を食べ物にして、レモン、ピーチ、マスカット、ソーダの4色にしたんです。

 

 

ええ。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
職人さんに支えられて販売できてるんですが、値段が2400円もするんですよ(注:税込み2,376円)。でも問屋さんに「なんでこんなに売れるの」って言われます。やっぱり売れるにはワケがあって、高いものを頑張ってお金出して買った方が、実は使いやすくて、ずっと使い続けられるんですよね。
大事なことですよね、価値に対してきちんとした価格で売るというのが。バブルが崩壊してデフレになって、まだ世の中が「安くて良いもの」に引きずられてますけど、それだと職人さんが生活できなくなっちゃうし、いなくなっちゃう。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「値段が高いのにはワケがある」と考えてくださるユーザーさんは増えてきてますね。ぷんぷく堂のお店に来られるお客様もそうですが、今は若い方が高いものを買われます。
ああ。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
「高いのにはきっとワケがあるんだろう」と思って、みなさんスマホで調べるんです。
それは、お店の中で?
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
そうなんです。直に聞く方もいらっしゃいますけど、自分で検索されますね。うちのオリジナル文具に限らないですが、自分で調べる方が結構多くなってきましたね。高いものも納得して買われる方が増えた実感があります。
物は有限じゃないですか。今の若い子たちが地球上の有限を実感しながら、物を大切に使ってくれるというのは、すごく嬉しい話ですね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

FRATについて思うこと

 

――ぷんぷく堂さんはメーカーでもあり小売店の立場でもありますが、(バイヤー向け展示会の)FRATにどんなことを期待されてますか?

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
うちのサイトを見られた全国の方が、ぷんぷく堂に行きたがってるっていう話をよく聞くんですね。特にオリジナルの文具に関しては「なかなか買いに行けない」って方からメールをいただいたり。なので小売店さんや問屋さんの力が必要だなと思いまして。大きい量販店さんにも置いていただきたいんです。

 

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
それに今回ご縁があったFRATには「この商品を見たら顔が思い浮かぶ」文具メーカーさんが集まってるので、私も一緒になって出せたらいいなって。なんか、夢のようなイベントですよね。

 

――自分たちで「展示会をつくる」って、なかなかないですしね。

 

ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
ないですよね。
私もFRATのコンセプトを伺ったときに「声をかけてもらって何てラッキーなんだ」と思いましたね。まだブランドを立ち上げたばかりで、みなさんについていくのが精一杯ですが。なにせまだ双葉マークが取れたてなので。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
いえいえ、そんなことないですよ。紙についてはもう(創業から)54年じゃないですか。
それはたしかにそうですね。もとが紙問屋ですから、世の中に売られてない、販売ルートがガチガチに決まっている機能紙をちょこっともらえる立ち位置なのはメリットですね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
うらやましい(笑)
せっかく紙問屋がプロダクトをやるわけですから「こういうものを使って、こんな生活を送ってほしい」という提案型の商品作りをしています。そんな中でみなさんが意識してない、見えてない「縁の下の力持ち的な紙」が世に出ることで、紙に興味を持ってもらえたら本望ですね。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤

 

――最後に、FRATにはどういう方に来てもらいたいですか?

やっぱり商品のコンセプトを一緒に共有して、わたしたちの商品を売ってあげたいと思ってくださるバイヤーさんと組みたいですよね。ですので思いを一緒に発信してくださるような方に来ていていただきたいです。
富国紙業 加藤
富国紙業 加藤
ぷんぷく堂 櫻井
ぷんぷく堂 櫻井
今回、26社が勢ぞろいしたことって、本当に画期的なことだと思うんですよね。文具業界に殴り込みをかけるイベントになると期待してますし、私個人としても、私が考えた文具を手取り足取りバイヤーさんに伝えていきたいなと思ってます。

 

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